第2回 アブラカタブラ・ε‐δ論法 [ネコ騙し数学]
第2回目は、アブラカタブラ・ε‐δ論法ですにゃ。
有名大学の理系学生さんであっても、死ぬほど分かりづらいといわれるε‐δ論法ですにゃ。
みんなこれに泣かされるんですにゃ。
そして、ほとんどの人が玉砕しますにゃ(^^ゞ
ε‐δ論法の嵐が過ぎ去るまで、死んだふりをしますにゃ、冬眠しますにゃ。
前回、
というのをやりましたにゃ。
xが1に近づけば、x2が1に近づくというのは、ほとんど自明ですにゃ。だから、これを証明しろといわれたら、困ってしまいますにゃ。
ですが、アブラカタブラ・ε‐δ論法を使うと、証明できますにゃ。
もっと、一般的に
でやってみますにゃ。
それで、
にとれば、
が成立する。
うるさい人には、ネムネコのように細かくて重箱突きが好きな奴には、
これでも喰らいやがれと、
と書いて黙らせるてやるんですにゃ。
アブラカタブラの呪文だから、何を書いてあるか、わからないにゃ。
これで、理系学生のほとんどすべての人が死んでしまいますにゃ。
何が書いてあるかわからないけれど、試験のためには、これを丸暗記するしかないですにゃ。
前回ご紹介したアブラカタブラε‐δ論法の呪文をもう一度あげますにゃ。
aの近くで定義された関数f(x)において、任意の正の数εに対して、適当な正の数δを決めると、
これを
という記号で表わし、この場合、のときf(x)はbに収束するという。また、bをのときのf(x)の極限値という。
となりますにゃ。
ますますわからなくなりますにゃ。
これもまったくチンプンカンプンのアブラカタブラですにゃ。
これをネコ騙し数学語に翻訳しますと、
を満たすδが自動的に決まる、ってことなんですにゃ。
だから、このことをわかりやすくするために、みたいに書くこともあるんですにゃ。
これでもまだピンとこないと思いますにゃ。だから、具体的な例をあげますにゃ。
これをアブラカタブラε‐δ論法で書くと
となるにゃ。
εは任意の正の数だから、とりあえず、1でも2でも、0.1でも0.01でも好きなのを選んでいいんですにゃ。そうすると、δの値が自然と決まるということですにゃ。
とおけば、δはεによって決まるんですにゃ。
にとればいいんですにゃ。
このδのとり方はあくまで一例にすぎないにゃ。
すこし混乱するかもしれないけれど、
でもいいですにゃ。
これでも、
とちゃんと条件を満たしていますにゃ。
これがアブラカタブラ・ε‐δ論法の心ですにゃ。
εの値をどんどん小さくすれば、つまり、f(x)が極限値bに近づけば近づくほど、
これに応じてδも小さくしなければならない、xをaに近づけてやらなければならない!!
ということなんですにゃ。
このイメージが大切なんですにゃ。
このイメージさえしっかりつかんでいただければ十分ですにゃ。
次回は、このε‐δ論法を使って、極限の公式の幾つかを証明する予定ですにゃ。
ちなみに、今回のニャンコ話には、
という不等式の公式を使っています。
この不等式は、三角不等式といって、数学で最も大切な不等式の一つです。
記号「⇒」は、「ならば」を意味します。
ここにでている記号や、ここが分かりづらいというところがありましたら、遠慮することなく、コメントに書いてください。
答えたいと思います。
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