第5回 極限と連続の重要な定理 [ネコ騙し数学]
第5回は、極限と連続で使われる重要な定理ですにゃ。
極限値が簡単な計算からすぐに求まる場合は必要ないのですが、極限値が簡単に求まらない場合がありますにゃ。
その代表格がこれまでに何度も書いた
ですにゃ。
などが使えませんにゃ。困りますにゃ。
こういうときに活躍するのが「はさみうちの定理」ですにゃ。
はさみうちの定理
というものですにゃ。
当たり前と言えば当たり前(?)のことなのですが、
証明しないと気持ち悪いので、ε‐δ論法の復習をかねて、証明してみますにゃ。
【証明】
任意のεに対して、
と
を満たすδが存在する。
①式より
②式より
仮定 より
また、
よって、
だから、
みたいな感じですかにゃ。
理系の方は、大学入試の受験勉強で、何度も、この「はさみうちの定理」のお世話になったと思いますが、これがその証明ですにゃ。
なお、この定理の証明には
という不等式の性質を使っていますにゃ。
さて、このはさみうちの定理を使って、前回の問題1を解いてみますにゃ。
問題1
は,x=0で連続ですか?
fは連続関数ですか?
【回答(怪答?)】
x = 0以外でx、sin(1/x)ともに連続ですから、連続の公式
から、x = 0以外では連続です。
問題は、x = 0の時です。
ですから
でしょう。
だから、はさみうちの定理より
よって、x = 0で連続。
ε‐δ論法を使って
としても構いませんにゃ。
こういう風に、はさみうちの定理を使うということを知って欲しいんですにゃ。
それから、連続の公式を使って
なんてことをやってはいけませんけろ。
これは公式の乱用!!
なんて存在しませんから(^^♪
次は、「中間値の定理」と呼ばれるとっても大切な定理です。
中間値の定理とは、
中間値の定理
f(x)が閉区間[a,b]で、ならば、f(x)はこの区間でf(a)とf(b)の中間の値をすべてとる。
ちなみに、閉区間[a,b]とは「a ≦ x ≦ bを満たすxの集まり、集合」ですにゃ。
たとえば、
このグラフより明らかなように、この関数の[1,2]という閉区間では、
ですので、
f(x)はf(1)=0とf(2)=4の中間のすべての値を閉区間[1,2]でとる、
と中間値の定理は言っているわけですにゃ。
この表現ですと、わかりにくいですかね。
中間値の主張は、
f(1) ≦ c ≦ f(2)
を満たすどんなcをとっても
f(x) = c
を満たすxが1 ≦ x ≦ 2に存在する
ということです。
ですが、
注目は、[-1,0]の閉区間の方ですにゃ。
f(-1) =1、f(0) =0 だから、
中間値の定理は
のどんなcをとっても、
を満たすxが閉区間[-1,0]に少なくとも一つある
と言っているにすぎないんだけろ。
でも、実際は
[-1,0]の区間の最大値は、
なんですにゃ。
だから、[-1,0]でy=f(x)がとる値は
―――「バカ猫、何でお前はこんな細かい値がわかるんだ?」 これに対するお答えは「ネムネコだから」ですにゃ(^^ゞ―――
ですから、
中間値の定理は、
連続関数は閉区間にかならず最大値や最小値があるということや、
この関数がとる値の範囲(値域)
を教えてくれないんですにゃ。
というわけで、
連続関数の最大値・最小値の定理が必要になりますにゃ。
最大・最小値の定理
f(x)が閉区間[a,b]で連続ならば、f(x)はこの区間で最大値、最小値をとる。
この二つの定理については証明しませんにゃ。
この重要な定理を証明するためには、上限や下限、区間縮小法などを長々と説明しなければならなりますにゃ。
これまでやり出したら、ネムネコ、死んでしまいますにゃ。
ですが、
区間縮小法もどきの二分法というものをご紹介しますにゃ。
そして、これは中間値の定理の証明もどきになるんだにゃ。
連続な関数fがあったとして、f(a)とf(b)の符号が違っていたら(f(a)・f(b) < 0)、
f(c) = 0
を満たすcがaとbの間にあるというものですにゃ。
かりにa < b、f(a) < 0、f(b) > 0とすると、f(a) < 0 < f(b)になるので、中間値の定理よりf(c) = 0をみたすcがa < c < bの間にかならずある!!
この性質を使って、
f(x)=0
という方程式を解こうじゃないか、というわけですにゃ。
手順2 f(c) = 0なら、これが求める方程式の解: 終了
手順3 f(a)×f(c) < 0 ならば、このcをbとする
f(c)×f(b) < 0 ならば、このcをaとする
手順4 手順1に戻る
かりにn回反復させると、調べる区間の幅がになるんですよ。1回やるたびに、区間の幅が半分になるからですにゃ。
そして、
これはどういうことかというと、区間が一点に収束するということで、
その収束した点cがf(x)=0の解だ!!
ちなみに紹介した二分法の手順ですと、無限ループになり、永遠に計算が終わらない場合があります(^^ゞ
ですが、
区間の幅が10回計算すれば、1000分の1、20回で百万分の一になりますので、収束は非常に速いですにゃ。
プログラム言語を知らなくても、エクセルなどの表計算ソフトを使えば、
たぶん、簡単にできますにゃ。
―――ネムネコは、表計算ソフトを使わないので、どうしたらいいのかわからないにゃ(^^♪―――
この二分法は実際に方程式の解法に使われる方法ですにゃ。
といった代数的に解けない方程式で威力を発揮しますにゃ。
ネムネコが新しく仕入れたMicrosoft Mathmaticsで書かせたグラフですにゃ。
少し見にくいですが、0 < x < 1の間に解があるので、a = 0、b =1として、手順に従って計算しますと、20回ほど繰り返して計算しますと、
x = 0.789085
という値が出てきますにゃ。
Microsft Mathmaticsには、「方程式ソルバ」というのがあって、
で解けますにゃ。
すごいですにゃ。ネムネコよりもずっとずっと賢いですにゃ。
表計算ソフトですと、
A2にaの初期値0、B2にbの初期値、C2「=(A2+B2)/2」、D2「=COS(C2)-(C2)」、
E2は「=(COS(A2)-A2)*(COS(C2) - C2)」
として、
A3を「=IF(E2 < 0; A2; C2)」
B3を「=IF(E2 < 0; C2; B2)」
C3~E3にはC2~E2をコピーして、
A4~E4以降は。A3~E3をコピーすれば計算
できるみたいですよ。
そうすれば、こういう計算結果が出るはずです。
表計算ソフトという便利なものがありますから、ネコ騙しにこれを積極的に活用しようかな、と思っています。
本当は、一様連続についても語らないといけないのでしょうが、その内、
この第5回の記事に付け加えますわ。
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