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第5回 極限と連続の重要な定理 [ネコ騙し数学]

5回は、極限と連続で使われる重要な定理ですにゃ。

 

極限値が簡単な計算からすぐに求まる場合は必要ないのですが、極限値が簡単に求まらない場合がありますにゃ。

その代表格がこれまでに何度も書いた

第5回_htm_m2b29dffd.gif

ですにゃ。

これは、分母の極限、第5回_htm_m19e535d6.gifなので、極限の公式

第5回_htm_m1e4910fc.gif

などが使えませんにゃ。困りますにゃ。

 

こういうときに活躍するのが「はさみうちの定理」ですにゃ。

はさみうちの定理

常に第5回_htm_m60b5bbd7.gifが成りたち、

第5回_htm_m2fcdb9b5.gif

ならば

第5回_htm_m40f7f155.gif

というものですにゃ。

 

当たり前と言えば当たり前(?)のことなのですが、

証明しないと気持ち悪いので、ε‐δ論法の復習をかねて、証明してみますにゃ。

 

【証明】

任意のεに対して、

第5回_htm_2f7803a5.gif

第5回_htm_m1896a2ce.gif

を満たすδが存在する。

①式より

第5回_htm_m45b34959.gif

②式より

第5回_htm_16c13230.gif

仮定 より

第5回_htm_298088d9.gif

また、

第5回_htm_m3fdf2b7f.gif

よって、

第5回_htm_16238873.gif

だから、

第5回_htm_33c068e6.gif

みたいな感じですかにゃ。

 

理系の方は、大学入試の受験勉強で、何度も、この「はさみうちの定理」のお世話になったと思いますが、これがその証明ですにゃ。

 

なお、この定理の証明には

第5回_htm_35ec0280.gif

という不等式の性質を使っていますにゃ。

 

 

さて、このはさみうちの定理を使って、前回の問題1を解いてみますにゃ。

 

問題1

第5回_htm_m5b4e6ba6.gif

,x0で連続ですか?

fは連続関数ですか?

 

【回答(怪答?)】

= 0以外でxsin(1/x)ともに連続ですから、連続の公式

第5回_htm_114655c8.gif

から、= 0以外では連続です。

 

問題は、= 0の時です。

第5回_htm_m277b7942.gif

ですから

第5回_htm_m61cf4be.gif

でしょう。

第5回_htm_m68864f48.gif

だから、はさみうちの定理より

第5回_htm_4efe1e0b.gif

よって、= 0で連続。

 

ε‐δ論法を使って

第5回_htm_1c1f8234.gif

としても構いませんにゃ。

こういう風に、はさみうちの定理を使うということを知って欲しいんですにゃ。

それから、連続の公式を使って

第5回_htm_m1af8adeb.gif

なんてことをやってはいけませんけろ。

これは公式の乱用!!

第5回_htm_m40ad8eb9.gif

なんて存在しませんから(^^♪

 

次は、「中間値の定理」と呼ばれるとっても大切な定理です。

中間値の定理とは、

中間値の定理

f(x)が閉区間[a,b]で、第5回_htm_m5e2ce800.gifならば、f(x)はこの区間でf(a)f(b)の中間の値をすべてとる。

 

ちなみに、閉区間[a,b]とは「a ≦ x ≦ bを満たすxの集まり、集合」ですにゃ。

 

第5回_htm_m4e4823d1.gif

たとえば、

このグラフより明らかなように、この関数の[1,2]という閉区間では、

第5回_htm_m187ef0e3.gif

ですので、

f(x)f(1)0f(2)4の中間のすべての値を閉区間[1,2]でとる、

と中間値の定理は言っているわけですにゃ。

この表現ですと、わかりにくいですかね。

中間値の主張は、

f(1) ≦ c ≦ f(2)

を満たすどんなcをとっても

f(x) = c

を満たすxが1 ≦ x ≦ 2に存在する

ということです。 

 

ですが、

注目は、[-1,0]の閉区間の方ですにゃ。

f(-1) 1f(0) だから、

中間値の定理は

第5回_htm_m45d92d2d.gif

のどんなcをとっても、

第5回_htm_m47952af3.gif

を満たすxが閉区間[-1,0]に少なくとも一つある

と言っているにすぎないんだけろ。

でも、実際は

[-1,0]の区間の最大値は、

第5回_htm_db52c7c.gif

なんですにゃ。

だから、[-1,0]yf(x)がとる値は

第5回_htm_m71b624af.gif

ですにゃ。

 

―――「バカ猫、何でお前はこんな細かい値がわかるんだ?」 これに対するお答えは「ネムネコだから」ですにゃ(^^ゞ―――

 

ですから、

中間値の定理は、

連続関数は閉区間にかならず最大値や最小値があるということや、

この関数がとる値の範囲(値域)

を教えてくれないんですにゃ。

 

というわけで、

連続関数の最大値・最小値の定理が必要になりますにゃ。

 

最大・最小値の定理

f(x)が閉区間[a,b]で連続ならば、f(x)はこの区間で最大値、最小値をとる。

 

この二つの定理については証明しませんにゃ。

この重要な定理を証明するためには、上限や下限、区間縮小法などを長々と説明しなければならなりますにゃ。

これまでやり出したら、ネムネコ、死んでしまいますにゃ。

 

ですが、

区間縮小法もどきの二分法というものをご紹介しますにゃ。

そして、これは中間値の定理の証明もどきになるんだにゃ。

 

連続な関数fがあったとして、f(a)f(b)の符号が違っていたら(f(a)・f(b) < 0)、

f(c) = 0

を満たすcaとbの間にあるというものですにゃ。

かりにa < bf(a) < 0f(b) > 0とすると、f(a) < 0 < f(b)になるので、中間値の定理よりf(c) = 0をみたすca < c < bの間にかならずある!!

この性質を使って、

f(x)0

という方程式を解こうじゃないか、というわけですにゃ。

 

手順1 第5回_htm_mce3945f.gifとする

手順2 f(c) = 0なら、これが求める方程式の解: 終了

手順3 f(a)×f(c) < 0 ならば、このcをbとする

f(c)×f(b) < 0 ならば、このcaとする

手順4 手順1に戻る

かりにn回反復させると、調べる区間の幅が第5回_htm_73046809.gifになるんですよ。1回やるたびに、区間の幅が半分になるからですにゃ。

そして、

第5回_htm_276c58e4.gifのとき第5回_htm_78885c71.gif

これはどういうことかというと、区間が一点に収束するということで、

その収束した点cがf(x)0の解だ!!

 

ちなみに紹介した二分法の手順ですと、無限ループになり、永遠に計算が終わらない場合があります(^^

ですが、

区間の幅が10回計算すれば、1000分の120回で百万分の一になりますので、収束は非常に速いですにゃ。

プログラム言語を知らなくても、エクセルなどの表計算ソフトを使えば、

たぶん、簡単にできますにゃ。

 ―――ネムネコは、表計算ソフトを使わないので、どうしたらいいのかわからないにゃ(^^♪―――

 

この二分法は実際に方程式の解法に使われる方法ですにゃ。

第5回_htm_2aaa9dfe.gif

といった代数的に解けない方程式で威力を発揮しますにゃ。

第5回_htm_m5e3a36cc.gif

 

ネムネコが新しく仕入れたMicrosoft Mathmaticsで書かせたグラフですにゃ。

 

少し見にくいですが、0 < x < 1の間に解があるので、= 01として、手順に従って計算しますと、20回ほど繰り返して計算しますと、

= 0.789085

という値が出てきますにゃ。

 

Microsft Mathmaticsには、「方程式ソルバ」というのがあって、

第5回_htm_m5e7a1d4.gif

第5回_htm_39708f7.gif

で解けますにゃ。

すごいですにゃ。ネムネコよりもずっとずっと賢いですにゃ。

 

表計算ソフトですと、

A2aの初期値0B2にbの初期値、C2「=(A2+B2)/2」、D2「=COS(C2)-(C2)」、

E2は「=(COS(A2)-A2)*(COS(C2) - C2)

として、

A3を「=IF(E2 < 0; A2; C2)

B3を「=IF(E2 < 0; C2; B2)

C3E3にはC2E2をコピーして、

A4E4以降は。A3E3をコピーすれば計算

できるみたいですよ。

そうすれば、こういう計算結果が出るはずです。

 

第5回_htm_m62e6f6a.gif 

 

表計算ソフトという便利なものがありますから、ネコ騙しにこれを積極的に活用しようかな、と思っています。

 

本当は、一様連続についても語らないといけないのでしょうが、その内、

この第5回の記事に付け加えますわ。 


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