第9回 平均値の定理 [ネコ騙し数学]
第9回 平均値の定理
微分の中で重要な「平均値の定理」が今回のテーマですにゃ。
平均値の定理は、関数の増加、減少などを論ずるためにどうしても必要な定理なので、これはどうしても避けて通れないですにゃ。
まず、
平均値の定理の証明に必要な「ロールの定理」を証明しますにゃ。
ロールの定理
「a≦x≦bで連続、a<x<bで微分可能な関数fがならばを満たすcがa<c<bに存在する」
というものですにゃ。
前に「連続な関数fは閉区間でかならず最大値、最小値を持つ」という最大・最小値の定理を紹介したにゃ。これを使って、ロールの定理を証明するんだにゃ。
ならば、この微分は常にゼロなので、ロールの定理を満たすににゃ。a < x < b のxのどれをcにとってもいいですにゃ。
で、でないならば、fは、と異なる最大値か最小値のどちらかを持つにゃ。
で、
図のようにx=cで最大値f(c)を持つとき、
なので、
よって、
最小値の場合は、省略。
不等号の向きが違うだけで、基本的に同じですから。
「ちょっと、待て、バカ猫!! ①は左側微分係数で、②は右側微分係数だろう。いいんか、これで!!」
「ネムネコのように細かい野郎だな。そんなんじゃ女にもてないぞ。それに、だから、いいんだよ、これで!!」
では、平均値の定理。
平均値の定理
fがa≦x≦bで連続、a < x< bで微分可能ならば、
を満たすcがa < c < bに存在する。
【証明】
と置き、
φ’(c) = f’(c) - k = 0
となるcが a < c < b に存在する。
よって、
で、この定理は何を言っているかといいますと、(a,f(a))、(b,f(b))を通る直線と同じ傾きを持つfの接線をa<x<b
の間で少なくとも一本引けるということですにゃ。
このことは図を見てもらえるとよく分かると思いますにゃ。
さらに、
f(x)がa≦x≦bで連続、a<x<bでならば、f(x)はa≦x≦bで増加関数である
ということがわかりますにゃ。
が0より大きいか、小さいかで、その関数が増加しているか、減少しているかがわかりますにゃ。
これはかならず成り立ちますにゃ。
なお、
狭義単調増加関数とはが常に成り立つ関数で、狭義単調減少関数はのことで、
この二つを合わせて狭義単調関数と呼んだりしますにゃ。
ネムネコとしては、ここから一気に極大・極小の話に移りたいのですが、
微分・積分の本を読むと、ここから幾つか定理が挙げられているので、不本意ながら(これは要らないんじゃない?)、これらの定理を挙げます。
定理A 関数f(x) がx = a で微分可能であり, f′(a) > 0 ならば, f(x) はx = a で増
加の状態にあり, f′(a) < 0 ならば, f(x) はx = a で減少の状態にある.
証明
したがって、つまり、f(x)はx=aで増加の状態にある。
何でこれが成立するか、わからないにゃ。
論理が飛躍しているにゃ(^^ゞ
これはこういうことを言っているんでにゃ。
だから、
εは任意、つまり、どんな値でも構わないので
と置くと、
を満たすδがある。
ε‐δ論法を長々と述べたのは、こういうところをハッキリさせるためだったんだにゃ。
そして、極大と極小の定義
a の近傍のすべてのx においてf(x) < f(a) のとき, f(x) はx = a で極大(localmaximum), f(x) > f(a) ならばf(x) はx = a で極小(local minimum) であるといいます.また, f(a) をそれぞれ極大値,極小値といい,両方をあわせて極値(extrema) といいます.
が続き、
定理B 関数f(x) がx = a で微分可能で,かつこの点で極値をとれば, f′(a) = 0 である.
証明
もしf′(a) > 0 ならば,関数f(x) はx = a で増加の状態にあり,またf′(a) < 0 ならば,関数f(x) はx = a で減少の状態にある.したがって,どちらの場合にもf(a) は極値にならない.ゆえにf′(a) = 0 でなければならない.
とくる。
そして、こう結ぶ。
定理C 関数f(x) はx = a の近傍で連続で, h(> 0) は十分小さいとする.
(1) (a − h, a) ではf′(x) > 0, (a, a + h) ではf′(x) < 0 であるならば, f(x) はx = a で極小になる.
(2) (a − h, a) ではf′(x) < 0, (a, a + h) ではf′(x) > 0 であるならば, f(x) はx = a で極大になる.
(3) f′(x) がx = a の前後で符号を変えなければ, f(a) は極値でない.
証明 f(x) は区間[a − h, a] では狭義の単調増加関数,区間[a, a + h] では狭義の単調減少関数になるから, f(x) はx = a で極大になる.その他の場合の証明も同様にできます.
以上、
広島工業大学の『微積分学入門』の講義ノートからの引用です。
大学の数学の先生が「要る」と言うのですから、たぶん、「要る」んでしょう(^^ゞ
それから、定理Cの「x = a の近傍で連続」は余計です。微分可能ならば連続なので、書くならば連続ではなく、微分可能とすべきところです。
長々と引用しましたが、言っていることは、
2 極値をとるx=aの前後でf'(x)の符号が変わる
3 f'(x)が+から-になるところは極大、-から+なら極小
の3点ですにゃ。
では、具体的な例で説明しますにゃ。
の極大、極小値を求めてみますにゃ。
極値をとるところではf'(x)=0でなければならないので、
ですにゃ。極値をとるところの前後でf'(x)の符合が変わっていることを調べる必要があるので、増減表というものを書きますにゃ。
x | … | -1 | … | 1 | … |
f'(x) | + | 0 | - | 0 | + |
f(x) | ↑ | 3(極大) | ↓ | -1(極小) | ↑ |
斜めの矢印が出せないので、「↑」は「関数が増加状態」、「↓」は「減少状態」を表わしています。
グラフは
だから、x=0で極値をとるなんてしてはダメですにゃ。y'≧0なので、x=0の前後でy'の符号が変わりませんから。こういうような点を変曲点と呼んだりしますにゃ。
f(1)が、f(-1)が…。
グラフを書きましたけれど、ちゃんと増減表を書いてくださいよ。
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