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第10回 微分と接線 [ネコ騙し数学]

10回 微分と接線

 

『接線なんかやらなくてもいいかな』と思ったのですが、やっぱ、やらないわけにはいかないんだろうな。

図を作んなきゃいけないので、できたらやりたくないんだけど(^^

 

ある本(ネムネコが持っている本の一冊)の接線の定義

「yがaで微分可能なとき、=f(x)のグラフ上の点P(a,f(a))を通る直線

第十回_htm_19f89c4e.gif

Pにおける接線といい、Pで接線に直交する直線を法線という。」

 

この定義だと、ちょっとまずいんでしょうかね~。

例えば、円。原点を中心とする半径1の円の方程式は第十回_htm_m2ce04cf7.gifだから、

第十回_htm_53a931bd.gif

これを微分すると、

第十回_htm_m4d227f6c.gif

となります。

この式を見るとわかりますけれど、x±1で微分不可能になって、「x±1で円の接線は存在しない(?)」となってしまう。

ですが、x±1は間違いなく原点を中心とする単位円の接線。

 

「おいおい、この問題をどうするんだ」!!

 

悪知恵を働かせて逃げようとするならば、

第十回_htm_2c9ae8f5.gif

だから、

第十回_htm_m36cf6853.gif

これで許してもらえる?

それとも、

”「微分可能なとき」と書いてあるじゃないですか”と突っぱねる?

どうせ、ネコ騙しだし(^^

 

これで終わってしまうのなんですし、すこし問題でも解いてみますか。

 

【問題】

曲線

第十回_htm_7d58a718.gif
について

(1)曲線上の(3,2)における接線の方程式を求めよ。

(2)傾きが2であるこの曲線の接線の方程式を求めよ。

【解答】

第十回_htm_m48ea122b.gif

(1)第十回_htm_4d0c10e1.gif

よって、接線の方程式は

第十回_htm_m68f14dc.gif


(2)曲線上の傾き(微分係数)が2の点のx座標をaとすると、

第十回_htm_7a17aef5.gif

a0の時のy座標はf(0)1

a4の時のy座標は

第十回_htm_394f30cc.gif

よって、

第十回_htm_m53113291.gif

第十回_htm_m5c878a2d.gif

少し見にくいですが、グラフは

 

第十回_htm_m5dd1776.gif

 

この勢いに乗って、さらにもう一つ。

 

【問題】 曲線第十回_htm_m2184618.gifに、点(3,1)から引いた接線の方程式を求めよ。

【解答】

第十回_htm_m56dad200.gif 

xaにおける接線の方程式は、

第十回_htm_19f89c4e.gif

だから、

第十回_htm_1f6319d5.gif

これが点(3,1)を通るので

第十回_htm_3b0fa39d.gif

このaを②に入れて計算すると、

第十回_htm_m626a0092.gif

 

接線単独じゃ~、これといって面白くないし、早いけれど、今回はこれで店じまいしますか。

と思ったのですが、

前回の「平均値の定理」の復習をかねて、次の問題でも解いてみますか。

 

【問題】

ある区間においてf'(x)は微分することができて、第十回_htm_m3463e2b3.gifで、かつ方程式第十回_htm_49c10827.gifが実根をもつものとする。このとき、αをその区間の実根の近似値とすれば第十回_htm_m70f2c298.gifαよりよい近似値となることを示せ。

【解答?】

γ第十回_htm_49c10827.gifの実根とすると第十回_htm_m2e407f5d.gif

第十回_htm_3a9426dc.gif
でおしまい(^^

 

 

平均値の定理より

第十回_htm_4bedb8db.gif

を満たすcがαγの間にあって、仮定より第十回_htm_m3463e2b3.gifだから第十回_htm_6d3da3b1.gif

なお、「よりよい近似値」というのは第十回_htm_24273d43.gifということです。

 

これ、大昔に出た某国立大学の理系の大学入試問題。

 

fが微分可能で、第十回_htm_m48072bf1.gifといったような関数の差の形が出てきたら、「平均値の定理」が使えるということを憶えておくと、何かと便利ですよ。

たとえば、

第十回_htm_m45485679.gif

だとすると、

第十回_htm_m22d89ea3.gif

という不等式を作ることができる。

c第十回_htm_6d1362f9.gifですね。

ここで、

第十回_htm_m6e1673a1.gif

を使っています。

 

これがそのグラフでs
第十回_htm_m65cf7aa7.gif

このグラフから、この不等式が成り立っていることがわかります。

そして、

第十回_htm_1c7a859d.gif

はy=√xのx=1の接線で、x=1の近く(近傍)でy=√xのよい近似式になっているのであった。

 

接線と近似式の関係もいったし、平均値の定理の応用の仕方についても書いたし、これくらいでいいかな。


タグ:微分積分
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