第12回 三角関数の微分など [ネコ騙し数学]
第12回 三角関数の微分など
そろそろ、三角関数の微分をやりますか。
三角関数の微分をやるためには、まず次の極限の存在を示さないといけない。
この証明のためには、まず
という不等式を証明しないといけません。
この図が証明(^^ゞ
円の半径1です。
それぞれの図形の面積を求めると、
この面積の大小関係から
となります。
θ > 0(sinθ > 0)なので、これをsinθで割ると、
よって、
そして、
になるので、はさみうちの定理から
となります。
①の極限をとって、
として、この逆数を利用してもいいです。
なお、ここで使っている角度の単位は弧度法に基づくradという単位で、360°や180°の「°」ではありません。
度でやると、極限値の値が少し変化します。 (不等式が変わるため)
で、
180°がπ(rad)で、90°がπ/2(rad)、30°がπ/6(rad)です。扇形の円弧の長さlを半径rで割ったものを角度に取ったものなんですよ。
円周は2πrだから、360°は2π(rad)というワケす。
x°だと、
と面倒だし、括弧の中を一つの角度にした方が何かと便利。
換算は
ですけれど、π(rad)が180°と憶えた方がいいんじゃないでしょうか。こんなものは憶えるものじゃありません。そもそも比例関係なので、比で十分です。
このradなる角度を用いると、半径r、角度θの扇形の面積は
となります。
この式も、円弧APの長さがrθなので、これを三角形の高さだ思えば、
三角形の面積、= (底辺×高さ)÷2
みたいなもんです。
θが1radより十分に小さければ、三角形OAPの高さに見做せるので、数学的な根拠もある。
「このような見做し力こそ大切!!」と嘯く(^^ゞ
それでは、正弦関数の微分です。
ここから(~~~で囲んであるところ)は、眺めてください。
こんなものは憶えるものじゃないし、理解する必要すらない。
こうすれば、三角関数の微分の公式が出てくるんだ、で十分。
今回は、結果こそが重要!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここで、
だから、
ここでは、三角関数の公式
を使っています。
なお、
が分かりづらかったら、
と書き換えて、
とすると、わかりよいのかもしれませんね。
余弦関数、cosxの微分は
となりますので、
正接関数tanxの微分は、
ここでは、商の微分公式
を使っています。
そして、
ですね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ということで、三角関数の微分の公式は
今日は、この三つの公式だけを覚えていただければ十分です。
今回はただの計算なので、いつにも増して、つまんないでしょ。
書いている本人がつまらないんだから(>_<)
ちょっと計算でもしてみますかね。
【問題】
次の関数を微分せよ。
【解答】
(2)
(2)はなんですよ。これを微分すると、ではなく、になるんですよ。不思議だケロ(^^ゞ
合成微分の公式
合成関数とは、
といった形の関数で、この微分の公式です。
u=g(x)とおきますと、
という非常に憶えやすいものです。
これを真面目に証明しようとすると大変なので、かなり胡散臭い証明を(^^ゞ
g(x)は微分可能なので、連続。であるとすると、
である。
で、u=g(x)と置くと、
そして、
だから、
になるというわけです。
で、この公式を用いて、
を微分してみると、
u=2xと置くと、sin(2x)=sin(u)となるので、
となって、
だから、
dy/dx = (dy/du)・(du/dx) = 2cos(2x)
となります。
この合成関数の微分の公式は、関数を微分するとき、よく使います。
たとえば、
といった関数の微分などで、威力を発揮します。
だから、
こういう使い方をするのだ、ということを理解していただければ、嬉しいです。
ということで、
f(2x+1)をxで微分すると、2f'(2x+1)になるし、
f(sinx)をxで微分すると、
(f(sinx))' = f'(sinx)・(sinx)' = f'(sinx)・cosx
といった風になります。
逆関数の微分
f:A→Bという関数が一対一の対応であれば、
で、fが微分可能であれば、その逆関数も微分可能となり、
というお話です。
ただの「分数の逆数」だから、証明は要らないでしょう(笑)。
たとえば、
という関数は一対一の対応なので逆関数
が定義できる。
で、この関数の微分は
なお、cos(x)をyで表わすのに
を使っています。
同様に計算すると、
なので、
ここで、
を使っています。
三角関数の逆関数の微分は、積分に使う程度で、定積分の時には置換積分すればいいだけの話なので、知らなくてもいいと言えば知らなくてもいい。
ちょっとインチキ話をすると、合成関数の公式を使って
dx/dx = 1
(dx/dy)・(dy/dx) = 1
dx/dy = 1/(dy/dx)
な~んてね(^^ゞ
これ、証明じゃないですからね~。
今日のまとめ
今日は、この公式5つを憶えていただければ、十分です。
最後の2つは、ただの分数の計算だし、覚えるのは超~楽でしょ。
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