第13回 ネイピア数e = ふな、一鉢、ふた鉢、しごく惜しい [ネコ騙し数学]
第13回 ネイピア数e = ふな、一鉢、ふた鉢、しごく惜しい
何処を出発点として話し出したらいいのか困っている。
微積分の伝統に従い、ネイピア数からいきますか。ネイピア数eとは
という無理数のこと。
そして、
というにn=1,
10, 1000, 1000, 10000という数を入れて電卓で計算すれば、この値に近づいてゆく(収束する)ことがわかる。
まず、この数列が単調増加で有界であることを証明する。
有界な数列とは、
ある実数Mがあって、数列のすべての項に対して
が成立する数列のこと。
そして、有界な単調数列(の収束)については、有名な次の定理がある。
定理 単調数列の収束
単調な有界数列は収束する。単調数列とは、
のような数列のこと。
数列が単調増加で、しかも
や
ならば、この数列は収束し、極限値をもつ。
これは公理みたいなものだから、証明は、いま、ちょっと勘弁してください。
これをやり出したら、話が際限なく広がってしまうので、
微分が終わったらやるであろう「数列の極限」のところで、お話します。
単調数列の収束定理がいわんとするところは、たとえば、
ならば、この数列は3を越さない「ある数に収束する」ということです。
なぜ、3を選んだかというと、これから話すネイビア数に関係するからです。
では、本題。
を展開すると、
同様にを展開すれば、
はより項の一つ一つ大きい上に、しかも、項が一つ多くあるので、
が成立して、は単調増加である。
を展開式から
である。
なぜならば、
だからだ。
ここで、また、ワザを使う。
だから、
だから、⑨より
だから、
で有界。
単調増加で有界だから、この数列には極限値が存在する。
値はわからないけれど、この数列の極限値であるネイピアス数は確かに存在する!!タグ:微分積分
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