SSブログ

第40回 積分の不等式への応用 [ネコ騙し数学]

第40回 積分の不等式への応用

前回に引き続いて、今回も積分の不等式への応用をやりますにゃ。

 

使うのは、


a ≦ x ≦ b f(x) ≧ g(x)ならば、

第40回_htm_54c969e7.gif

で、等号が成立すのはf = g のときである。

 

では、大昔に大学入試(某国立大です)で実際に出た問題を一つ。

問題1

(1)すべての正の数xに対して、不等式

第40回_htm_m222cc340.gif

が成り立つことを示せ。

(2)閉区間[0,1]で正の値を取る連続関数f(x)が、条件

第40回_htm_m1d4d737e.gif

を満たすとき、不等式

第40回_htm_m78a9a60f.gif

が成り立つことを示せ。

 

【解答】

(1)の不等式は、前回証明したのだけれど、今回は違う方法で。

第40回_htm_5f92774c.gif

とする。

第40回_htm_ac5fce8.gif

となり、

0 < x < 1 f'(x) < 0 減少

1 < x f'(x) > 0 増加

よりx = 1 で極小(最小)である。

 

よって、0 < x 

第40回_htm_1cfc3ad8.gif

となり、、

第40回_htm_m222cc340.gif

である。

 

極小の判定は、二階微分f''(1)の正負を使ってもいいケロ。

第40回_htm_ma71ece2.gif

なので、このとき、極小であることがわかる。

なんで、x = 1 が突然出てきたかは、

第40回_htm_m2ab6c88.gif

だからだにゃ。

で、これまでに何度も

第40回_htm_e0b62b3.gif

が出ているので、
f'(x) = log(x)
であることは、見ただけでわかるにゃ。

(2) 計算しないですむので、こういう問題は助かるにゃ。

任意の正の数t

第40回_htm_6addba15.gif

が成り立つので、t = f(x) > 0とおけば、

第40回_htm_71a2636c.gif

で、

これを積分すれば、

第40回_htm_73825a60.gif

題意より、

第40回_htm_m1d4d737e.gif

だから、

第40回_htm_4dae5b75.gif

y = xlog(x) – x + 1 
のグラフは次のとおり。

 

第40回_htm_m7e59ef28.png


次は、ちょっと、違う種類の問題で、定積分の値の評価の問題。

 

 

問題2 次のことを示すケロ

第40回_htm_m4db3691a.gif

【解答】

原始関数の表(あるかどうか確かめるために、当然、クリックだろう!!)に

第40回_htm_m53df7cc3.gif

が無いなんて言ってはいけない。

これは初等的な関数では表わすことのできない高等な関数なんだケロ。

その意味で、積分できないんだ、この関数は!!

0 ≦ x ≦ 1/2
では

第40回_htm_52ec36f7.gif

だから、

第40回_htm_18c30613.gif

この逆数の大小関係は

第40回_htm_5c222535.gif

となる。

で、さらに

第40回_htm_m35e70ade.gif

だケロ。分母が1以下なんだから、これが成立するのは、わかるケロ!!

ということで、

第40回_htm_m19657ac4.gif

になるにゃ。

等号が落ちているのは、

すべてのx∈[0,1/2]に対して

第40回_htm_m2ed7d7d3.gif

でないからだケロ。
第40回_htm_m2d693b13.gif

なのはいいでしょ。

で、問題は右辺の

第40回_htm_m1994beab.gif

だね。

実はこの積分、これまでに何度も出てきているんだけれど・・・。

原始関数の表(←この積分を憶えていないなら、クリックするケロ!!)を使いますと、

第40回_htm_m18e20f4c.gif

だから、

第40回_htm_m4db3691a.gif

置換積分を使うならば、

x = sin(t) (–π/2 ≦ t ≦ π/2) とおくと、

積分区間の限界が

x = 0 → t = 0

x = 1 / 2 → t = π/6
に変わって、

第40回_htm_m53ae4f75.gif

 

この積分はこれまでに何度も出てきてるんだけれどね・・・。

 

で、台形公式で分割数n = 1000で近似計算すると

第40回_htm_m470e6b4e.gif
となる。

第40回_htm_m32afd3dd.png


このグラフ(赤い線だにゃ)を見るとわかるけれど、

第40回_htm_m38d74f81.gif

だから、

第40回_htm_2ff720ce.gif

になるにゃ。

 

マクローリン展開(←をクリックするにゃ)を利用すると、

第40回_htm_483b439e.gif

となるので、

第40回_htm_m2d049cd.gif

とかなりいい値が出ますにゃ。

第40回_htm_3ff3150d.png

緑の線が近似式にゃ。

いい近似になっていることがわかるケロ。

この近似式の出し方は、

第40回_htm_m338251f2.gif

と極めてシンプルなもので、

第40回_htm_m71196c4b.gif

としたものだにゃ。


一つの問題でも掘り下げて考えれば、色々なことがわかるケロ!!

 

 

念のために、より高精度なシンプソン法を使って分割数n = 1000で計算させてみると、

第40回_htm_4f6e7788.gif

 

なにぶん、
ネムネコは計算が苦手なもので、あまりしたくないんだが、

第40回_htm_7781be62.gif

この近似式は、

第40回_htm_mc9ed996.gif

として、

第40回_htm_m15744d7a.gif

とすれば出てくるにゃ。

当然、
マクローリン展開
↑をクッリクだケロ!!

この記事の最後のほうに、代表的な関数のマクローリン展開が出ている。 


で、これで計算すると、
第40回_htm_562d858f.gif

かなりいい精度で計算できますね。

この計算は、面倒なので、Microsoft Mathematicsでさせた(ポリポリ)。


ネムネコは、この計算を絶対に間違える自信がある(エヘン)!!

 


タグ:微分積分
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。