第40回 積分の不等式への応用 [ネコ騙し数学]
第40回 積分の不等式への応用
前回に引き続いて、今回も積分の不等式への応用をやりますにゃ。
使うのは、
a ≦ x ≦ b でf(x) ≧ g(x)ならば、
で、等号が成立すのはf = g のときである。
では、大昔に大学入試(某国立大です)で実際に出た問題を一つ。
問題1
(1)すべての正の数xに対して、不等式
が成り立つことを示せ。
(2)閉区間[0,1]で正の値を取る連続関数f(x)が、条件
を満たすとき、不等式
が成り立つことを示せ。
【解答】
(1)の不等式は、前回証明したのだけれど、今回は違う方法で。
とする。
となり、
0 < x < 1 f'(x) < 0 減少
1 < x f'(x) > 0 増加
よりx = 1 で極小(最小)である。
よって、0 < x で
となり、、
である。
極小の判定は、二階微分f''(1)の正負を使ってもいいケロ。
なので、このとき、極小であることがわかる。
なんで、x = 1 が突然出てきたかは、
だからだにゃ。
で、これまでに何度も
が出ているので、
f'(x) = log(x)であることは、見ただけでわかるにゃ。
(2) 計算しないですむので、こういう問題は助かるにゃ。
任意の正の数tで
が成り立つので、t = f(x) > 0とおけば、
で、
これを積分すれば、
題意より、
だから、
y = xlog(x) – x + 1 のグラフは次のとおり。
次は、ちょっと、違う種類の問題で、定積分の値の評価の問題。
問題2 次のことを示すケロ
【解答】
原始関数の表(あるかどうか確かめるために、当然、クリックだろう!!)に
が無いなんて言ってはいけない。
これは初等的な関数では表わすことのできない高等な関数なんだケロ。
その意味で、積分できないんだ、この関数は!!
0 ≦ x ≦ 1/2では
だから、
この逆数の大小関係は
となる。
で、さらに
だケロ。分母が1以下なんだから、これが成立するのは、わかるケロ!!
ということで、
になるにゃ。
等号が落ちているのは、
すべてのx∈[0,1/2]に対して
なのはいいでしょ。
で、問題は右辺の
だね。
実はこの積分、これまでに何度も出てきているんだけれど・・・。
原始関数の表(←この積分を憶えていないなら、クリックするケロ!!)を使いますと、
だから、
x = sin(t) (–π/2 ≦ t ≦ π/2) とおくと、
積分区間の限界が
x = 0 → t = 0
x = 1 / 2 → t = π/6
に変わって、
この積分はこれまでに何度も出てきてるんだけれどね・・・。
で、台形公式で分割数n = 1000で近似計算すると
このグラフ(赤い線だにゃ)を見るとわかるけれど、
だから、
になるにゃ。
マクローリン展開(←をクリックするにゃ)を利用すると、
となるので、
いい近似になっていることがわかるケロ。
この近似式の出し方は、
と極めてシンプルなもので、
としたものだにゃ。
一つの問題でも掘り下げて考えれば、色々なことがわかるケロ!!
念のために、より高精度なシンプソン法を使って分割数n = 1000で計算させてみると、
なにぶん、
ネムネコは計算が苦手なもので、あまりしたくないんだが、
この近似式は、
として、
とすれば出てくるにゃ。
当然、
マクローリン展開
↑をクッリクだケロ!!
この記事の最後のほうに、代表的な関数のマクローリン展開が出ている。
かなりいい精度で計算できますね。
この計算は、面倒なので、Microsoft Mathematicsでさせた(ポリポリ)。
ネムネコは、この計算を絶対に間違える自信がある(エヘン)!!
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