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第20回 複素数のべき [ネコ騙し数学]

第20回 複素数のべき

a
を実数、bを実数とするとき、aのb乗について

  
が成立する。

このことは、

  
となることからわかると思うにゃ。

ここでlogは自然底e=2.71828…を底にする対数をあらわす。

これからやる内容は、頭を混乱させるだけだから、むしろ、やらない方がいいのかもしれないのだけれど、やるにゃ。


非常に紛らわしい話になるので、複素数を定義域とする対数と区別するために、実数で定義される普通の対数関数を

  
と書き、複素数を定義域にする対数をlogzと書くことにし、改めて

  
と定義するにゃ。


ちなみに、arg(z)は複素数の複素平面上の偏角で、

  
だにゃ。

を複素数ABに拡張すれば、AB乗は

  
と定義されるであろう。こう考えるのはごく自然だにゃ。そして、事実、AB乗はこのように定義される。

なのですが、ここで大問題が一つ発生する。
複素数まで拡張された指数関数は、⑨式で定義される意味での自然底e=2.718…のz乗でないということになってしまう。
指数関数は、

  
で定義される関数であって、⑨式で定義される関数ではない。慣習的に指数関数はと書くけれど、意味が違うのだということをハッキリとあらわすために、

  
と書く場合もある。そして、「は実数で定義される指数関数であり、これは自然底ex乗の意味である」と、かなり苦しい説明をする。



まぁ、何を書いているかわからないと思う。


次の問題をやると、この違いがわかるんじゃないかと思う。

問 次の値を求めよ。

  

【解】
(1)

  
偏角zの偏角arg(z)を−πarg(z)≦πに制限すれば、arg(1)=0なので、

  

よって、
  
となる。

(2)
  
で、

  
となるので、

  
になる。

これを見るとわかると思うけれど、複素数に拡張されたホニャララのべき乗は、一般的に複数の値を持つんだケロ。

ただし、Aが複素数でnが非負の整数のとき、

  

となる。


なぜならば、n=0のときは、

  
となるし、n=1,2,…のときは

   

となるので。

また、A≠0のとき、

  
も成立するんだにゃ。
そして、値は一つしかない。

この話をしだすと、泥沼に突入するし、それ以上に、これを読んでいる人を混乱の極みに突き落とすことになるだろうから、やらないにゃ。

ただ、複素数のべき乗は⑨式で定義されるのだということだけを覚えておいて欲しいにゃ。
 ―――実は、とあるところの数学サイトに、この質問をしたところ、回答を投稿した人たち(理系の人たちですよ、きっと)ですら、この違いを知らなかったりする。だから、知らなくても、た・ぶ・ん、大丈夫!!―――

複素数の一般のべき乗を求めるなんてことをやるのは今回と次回だけだし、こんなものは知らなくても大丈夫。
この後、出てこないにゃ(^^)


タグ:複素解析
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