第29回 正則関数の微分可能性 [ネコ騙し数学]
第29回 正則関数の微分可能性
定理 f(z)は領域Dで正則とする。そのときf'(z)はDで正則であり、したがって、f(z)は何回でも微分可能である。また、微分は次の公式で与えられる。
ここに、Cはzを含み、その周およびその内部がDに含まれる単一閉曲線である。
【証明】
コーシーの積分公式からCはzを中心とする半径rの円としてよい。さらに、hを|h|<r/2とする。
よって、
となる。
C上の|f(ζ)|の最大値をMとすると、|f(ζ)|≦M、|ζ–z|=r、|ζ–z–h |≧r/2となるので、
となる。
で、h→0とすれば、
になる。
つまり、
となる。
あとは、数学的帰納法でチョメチョメ・・・(^^ゞ
ではあるのだが、
の両辺をzで次々と微分すれば、この公式は出てくるにゃ。
で、n=kのとき
として、これをzで微分すると、積分の中は
になるので、
となり、n=k+1でも成立することが分かるにゃ。
証明の中身はわからなくてもいいにゃ。
知ってほしいのは、複素関数は1回微分可能ならば、何回でも微分できるということであり、
という結果だにゃ。
では、問題を。
問題 次の積分の値を求めよ。ただし、各閉曲線は全て正の方向とする。
【解】
とすると、これは正則だから、
となるケロ。
で、
これを代入すると、
となる。
f(z)が単連結領域で連続であって、D内の任意の閉曲線Cに対して
であるとき、f(z)は正則である。
【証明】
として、Dに対しての関数
が積分路によらず定義が可能。そして、F'(z)=f(z)となる(※)。
よって、F(z)は正則であり、その導関数f(z)もDで正則になる。
(※)
f(ζ)は連続なので、任意の正数εに対してある正数δが存在して
ということで、
ちょっと粗いけれど・・・。
だケロ。
コメント 0