第30回 コーシーの評価式とその応用 [ネコ騙し数学]
第30回 コーシーの評価式とその応用
前回やった
という公式を使うと、いろいろなことが証明できるという話をしますにゃ。
コーシの評価式
Cをαを中心とする半径rの円とし、f(z)がCおよびその内部で正則とする。z∈Cに対し、|f(z)|≦Mであるならば、
である。
【証明】
であるので、
ちなみに、
だケロ。これは半径rの円周の長さのことだから。
ちなみに、真面目に計算をすると、
となる。
念のために書くけれど、
となる。
定義 複素平面C全体で正則な関数を整関数という。
たとえば、三角関数sinzやcosz、指数関数、さらに、などは整関数の代表例だにゃ。
リウヴィルの定理
f(z)が有界な整関数ならば、f(z)は定数である。
【証明】
f(z)は有界な関数なので、任意のzに対して|f(z)|≦MとなるMが存在する。
任意のzを中心とし、任意の半径rを書くと、コーシーの評価式から
rは任意の正数だからr→∞とすると、
任意のzに対してf’(z)=0だから、f(z)は定数となる。
平均値の性質
f(z)がαを中心とし、半径rの円の周およびその内部で正則であれば、
コーシーの積分公式より、
になる。これを平均値の性質という。
証明は、こうすればいいにゃ。
中心α、半径rの円は
だにゃ。
で、
ということで、
よって、
となる。
他にも、代数学の基本定理や最大値の原理(?)が証明できるのだけれど、複素解析にあまり関係ないので、やらないにゃ。
複素解析の本、教科書によっては書いていないし(^^ゞ。
最大値の原理
Cを単一閉曲線とし、f(z)はCの周およびその内部で正則とする。このとき、|f(z)|はその最大値を境界C上でとる。
代数学の基本定理
代数方程式
は根を持つ。
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