第2回 ベクトルの幾何学への応用 [ネコ騙し数学]
第2回 ベクトルの幾何学への応用
定点Oから点Pに引かれたベクトルを点Oに対する位置ベクトルといい、定点Oを原点という。
そして、
点Oに対するA、Bの位置ベクトルをとするとき、
になる。
と、第1回目の復習をし、先に進むにゃ。
(1)線分をm:nに分ける点
2点A、Bの点Oに対する位置ベクトルをa、bとし、線分ABをm:nに分ける点をP、そして、その位置ベクトルをpとする。
このとき、AP:PB=m:nなので、
となる。
ABの中点の位置ベクトルは
である。
点A、Bの座標をとすると、ABをm:nに内分する点の座標は①より
となるにゃ。
例 線分ABをAP:PC=3:2に内分する点の位置ベクトルpは
問題1 平行四辺形の対角線は互いに他を2等分することを示せ。
【解】
平行四辺形ABCDの頂点Aに対するB、Dの位置ベクトルをb、dとする。つまり、
そうすると、になる。
で、BDの中点をMとすると、
となり、MはADの中点である。よって、ACとBDは互いに2等分している。
(2)直線のベクトル方程式
定点Aを通りベクトルdに平行な直線
原点をOとし、直線上の任意の点をPとすると、
となる。
点Aと点Pの位置ベクトルをa、pとする。はdと平行なので、となる実数tが存在する。
よって、
tが変化すると、pの終点は、aを通りdに平行な直線を描くので、これが求める直線のベクトル方程式。
2点A、Bを通る直線の方程式
よって、点Aを通りd=b–aに平行な直線の方程式は③式より
また、④式は
と書き換えることもできるにゃ。
問題2 3点A、B、Cが同一の直線上にあるための必要十分な条件は、それらの原点に対する位置ベクトルをa、b、cとするとき、
la+mb+nc=0かつl+m+n=0
となるようなl、m、n(同時に0でない)が存在することである。
【解】
Cは2点A、Bを通る直線にあるので
よって、l=λ、m=μ,n=−1とおけば、
la+mb+nc=0かつl+m+n=0(n≠0)
逆に上式が成り立つものとし、n≠0であるとすれば、上の式の両辺をnで割り
とおけば、c=λa+μb、λ+μ=1となる。
よって、Cは直線AB上に存在する。
問題3 三角形の3つの中線は一点で交わることを証明せよ。
この交点は三角形の重心であり、原点に対する三角形の3つの頂点の位置ベクトルをa、b、cとするとき、重心の位置ベクトルは
である。
【略解(?)】
頂点aを通る中線の方程式は
t=2/3にすれば
この問題と解はとある数学の本に書いてあるものなのですが、この【略解】を見て納得できる奴は、数学がものすごくできる奴か、そうでなければ⑨のどちらかです(^^ゞ
(3)平面のベクトル方程式
定点Aを通り、b、cに平行な平面
原点をOとし、平面上の任意の点をPとすれば
さらに、A、Pの位置ベクトルをa、pとすれば、b、c、は同一平面上にあるので、適当なsとtに対して
s、tの値が変化すれば、pの終点はこの平面上を描くことになり、これが平面のベクトル方程式である。
3点A、B、Cを通る平面
点A、B、Cの位置ベクトルをa、b、cとすれば、
よって、⑥式より
となる。
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