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番外編 いきなり非ユークリッド幾何学 [ネコ騙し数学]

番外編 いきなり非ユークリッド幾何学



公理主義に基づく幾何学を理解するためにいい題材だと思うので、いきなり、非ユークリッド幾何学!!
非ユークリッド幾何学の一例として、こんな問題をあげてみるにゃ。


問題

H平面とは、座標平面上でy>0の部分をいう。また、その上のH直線とは、座標平面上の図形のうち、次のものをいう。

a) x軸に垂直な直線のH平面内にある部分(つまり、半直線)

(b) x軸上に中心を持つ円周のH平面内にある部分(つまり半円周)

これについて、次の問いに答えよ。

(1) H平面上の異なる2点PQを通るH直線は1つであり、2つ以上はない。その理由を述べよ。

(2) 1つのH直線以外の1点を通って、これと交わらないようなH直線は2つ以上ある。たとえば、(2, 2)を通り、

  

で与えられるH直線lと交わらないH直線を2つあげよ。

何やら難しいことを書いているように見えますが、実は・・・(^^)


この問題に出てくるH直線というのは図のような2タイプ(白抜きの○の部分は含まない)。


anti-euclid-01.jpg

相異なる2点PQの座標をそれぞれ(x₁, y₁)(x₂, y₂)とすると、

  タイプ(a) x₁=x₂y₁≠y₂
  タイプ(b) x₁≠x₂

の場合。

もちろん、y₁>0y₂>0

タイプ(a)の場合、
x₁=x₂だから

  

H直線ということになる。

x₁≠x₂のタイプ(b)の場合は、円の中心はx軸上にあるので、その座標を(c,0)とし、半径をrとすると、

  

となる。で、この半円周は相異なる2点PQを通るので

  

を満たさなければならない。

  

だから、①−②は

  

rについては計算しないけれど、(x₁,y₁)(x₂,y₂)から、cと半径rの値が一つに決まることがわかる。

で、もし、x₁=x₂のとき、半円周タイプのH直線があるとすると、

  

となって、上の式と下の式の差をとると

  

になるけれど、y₁>0y₂>0だから、y₁=y₂となり、x₁=x₂と合せると、P=Qになってしまう。だから、x₁=x₂のとき半円周のH直線にはならないケロ。

また、x₁≠x₂
のとき、相異なるPQを通るH直線がx=x₁またはx=x₂の半直線にならないのは明らかだケロ。

よって、相異なる2点PQを通るH直線は一本しかない。

式を使えばこうなるけれど、上の図を見ればほとんど明らかでしょう。


タイプ(b)のとき、半円周の中心C(c, 0)PQの垂直二等分線とx軸との交点で、この交点Cは必ず存在するにゃ。


(2)は、それこそ無数に存在するにゃ。

  

2つでいいらしいから、2つあげるにゃ。

  


anti-euclid-02.jpg


相異なる2直線が交わらないとき、2直線は平行であると定義される。

l₁l₂は、lと交わらないから、なんと、この2つのH直線はlと平行なんだケロ。
定義からそうなるにゃ。
そして、
(Ⅲ) 平行線の公理 直線外の1点を通り、この直線に平行な直線はただ1つである


H
直線lの外の1点Pを通り、このH直線lに平行なH直線はただ一つではないにゃ。
つまり、このH直線では平行線の公理は破れている!!


結合の公理は満たしているけれど、平行線の公理は満たしていない。


このことは、幾何学において、平行線の公理は必ずしも必要ではなく、平行線の公理を否定する別の公理を採用しても構わないということを意味するにゃ。

そして、それが非ユークリッド幾何学と呼ばれるものなんだケロ。


タグ:初等幾何
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