第15回 級数の定理 [ネコ騙し数学]
第15回 級数の定理
復習をかねて、級数の収束について、もう一度、あらためて話しますにゃ。
数列が与えられたとき、をつくると、数列が得られ、このとき数列はを項とする級数というケロ。そして、この数列がある数s に収束するとき、級数は収束するといい、
と書き、このs を級数の和というケロ。
そして、
さらに、数列の収束に関するコーシーの定理。
定理9 (コーシーの収束条件)
そして、コーシー列(基本列)の定義は
任意のε > 0 に対して、次の条件を満たすm ∈ N が存在する。
で得られるも数列なので、が収束するとき、当然、コーシーの収束条件を満たしますにゃ。また、コーシーの収束条件を満たせば、は収束しますにゃ。
だ・か・ら、
定理11
が収束するための必要十分な条件は、任意の正の数εに対して次のm ∈ N が存在することである。
本によっては、
となっているものもあると思いますが、これは表現の違いであって、意味するところは同じだにゃ。
そして、この定理11を使うと、
①の定義なら p = q ≧ m にすると、
②の定義なら p = q + 1 > q > m とすると、
となりますにゃ。
だから、①は、
任意の正の数εに対して、次の条件をみたすmが存在する。
と書いてもいいにゃ。
なお、このpやqは特定のひとつの自然数ではなく、p ≧ q ≧ m を満たすすべてのp やq だにゃ。
で、が収束するとき、この数列は有界じゃないといけない。
このあたりの話は、数列の極限の定理のところを読み返して欲しいにゃ。
なんだから。
そして、もし、正項級数が有界、つまり、上限を有するならば、有界単調増加の数列はかならず収束するのだから、も収束する。
定理11
正項級数が収束するための必要十分な条件は、次の定数M > 0 が存在することである。
収束する正項級数の例としては、
などがあるにゃ。
そして、この場合は、
なので、M = 2とかにすればいいにゃ。
そして、こういうMが存在すれば、かならず正項級数は収束するにゃ。
絶対収束と条件収束
が収束するとき、は絶対収束するという。は収束するが、絶対収束しないとき、は条件収束するという。
今すぐ、これは証明しないけれど、
条件収束するけれど、絶対収束しない例としては、
というのがあるケロ。
になるので、この級数は収束しないにゃ。
定積分のところでやったけれど、
だから、n → ∞ のとき、これが+∞に発散するのがわかるケロ。
この級数のことを、よく「塵も積もれば、山となる」と形容しているにゃ(ポリポリ)。
絶対収束の定理としては、
定理13
【略証】
は絶対収束するので、任意の正の数εに対して、次のmが存在する。
で、三角不等式より
コーシーの収束条件が如何に便利であるかわかるケロ。
定理14
さらに、、
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