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第15回 級数の定理 [ネコ騙し数学]

第15回 級数の定理

 

復習をかねて、級数の収束について、もう一度、あらためて話しますにゃ。

 

数列第15回 級数の定理_htm_m5e8a466d.gifが与えられたとき、第15回 級数の定理_htm_4becb270.gifをつくると、数列第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gifが得られ、このとき数列第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gif第15回 級数の定理_htm_m70392961.gifを項とする級数第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifというケロ。そして、この数列第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gifがある数に収束するとき、級数第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifは収束するといい、

第15回 級数の定理_htm_m3edc5a18.gif

と書き、このを級数の和というケロ。

そして、

収束しないとき、第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifは発散するといいますにゃ。

 

さらに、数列の収束に関するコーシーの定理。


定理9 (コーシーの収束条件)

数列第15回 級数の定理_htm_m5e8a466d.gifが収束するための必要十分な条件は、数列第15回 級数の定理_htm_m5e8a466d.gifがコーシー列であることである。

 

そして、コーシー列(基本列)の定義は

 

 

次の条件を満たす数列第15回 級数の定理_htm_m5e8a466d.gifをコーシー列という。

任意のε > 0 に対して、次の条件を満たすm ∈ N が存在する。

第15回 級数の定理_htm_m7aacb469.gif

 

 

 

第15回 級数の定理_htm_4becb270.gifで得られる第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gifも数列なので、第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gifが収束するとき、当然、コーシーの収束条件を満たしますにゃ。また、コーシーの収束条件を満たせば、第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gifは収束しますにゃ。


だ・か・ら、

 

定理11

第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifが収束するための必要十分な条件は、任意の正の数εに対して次のm ∈ N が存在することである。

第15回 級数の定理_htm_m2abbf767.gif

 

本によっては、

第15回 級数の定理_htm_6e2bc508.gif

となっているものもあると思いますが、これは表現の違いであって、意味するところは同じだにゃ。

そして、この定理11を使うと、

第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifが収束するとき、第15回 級数の定理_htm_maf6247e.gifの証明は、

①の定義なら p = q ≧ m にすると、

第15回 級数の定理_htm_6b335bf6.gif

②の定義なら p = q + 1 > q > m とすると、

第15回 級数の定理_htm_ma19c5f6.gif

となりますにゃ。

 

第15回 級数の定理_htm_2e6f6ffa.gif

だから、①は、

任意の正の数εに対して、次の条件をみたすmが存在する。

第15回 級数の定理_htm_374385ed.gif

と書いてもいいにゃ。

なお、このpやqは特定のひとつの自然数ではなく、p ≧ q ≧ m を満たすすべてのだにゃ。

で、第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gifが収束するとき、この数列は有界じゃないといけない。

このあたりの話は、数列の極限の定理のところを読み返して欲しいにゃ。

正項級数
級数第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifの各項が第15回 級数の定理_htm_6dbb3de5.gifのとき、正項級数という。


すべての項が第15回 級数の定理_htm_6dbb3de5.gifなのだから、数列第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gif狭義単調増加だケロ。

第15回 級数の定理_htm_6e82d166.gif

なんだから。

そして、もし、正項級数が有界、つまり、上限を有するならば、有界単調増加の数列はかならず収束するのだから、第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifも収束する。


定理11

正項級数第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifが収束するための必要十分な条件は、次の定数M > 0 が存在することである。

第15回 級数の定理_htm_353f1ef7.gif

 

収束する正項級数の例としては、

第15回 級数の定理_htm_5327bf01.gif

などがあるにゃ。

そして、この場合は、

第15回 級数の定理_htm_m707344f2.gif

なので、M = 2とかにすればいいにゃ。

すべてのに対して第15回 級数の定理_htm_m5e139e80.gifになっていることがわかるケロ?

そして、こういうMが存在すれば、かならず正項級数第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifは収束するにゃ。


絶対収束と条件収束
第15回 級数の定理_htm_40410882.gifが収束するとき、は絶対収束するという。第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifは収束するが、絶対収束しないとき、第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gif条件収束するという。

 

今すぐ、これは証明しないけれど、
条件収束するけれど、絶対収束しない例としては、

第15回 級数の定理_htm_m4fb48e27.gif

というのがあるケロ。

第15回 級数の定理_htm_m24c4fc3a.gif

になるので、この級数は収束しないにゃ。

定積分のところでやったけれど、

第15回 級数の定理_htm_300bb0fa.gif

だから、n → ∞ のとき、これが+∞に発散するのがわかるケロ。

この級数のことを、よく「塵も積もれば、山となる」と形容しているにゃ(ポリポリ)。

 

絶対収束の定理としては、

 

定理13

第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifが絶対収束すれば、第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifは収束する。

【略証】

第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifは絶対収束するので、任意の正の数εに対して、次のmが存在する。

第15回 級数の定理_htm_m7b8cb8b8.gif

で、三角不等式より

第15回 級数の定理_htm_4b97eb62.gif

よって、第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifは収束する。


コーシーの収束条件が如何に便利であるかわかるケロ。

定理14

任意の自然数に対して第15回 級数の定理_htm_m7ad0c17c.gifかつ第15回 級数の定理_htm_3c215bb2.gifが収束すれば、第15回 級数の定理_htm_m66d87932.gifは絶対収束する。


第15回 級数の定理_htm_3c215bb2.gifが収束するというのだから、有界だね。

さらに、、

第15回 級数の定理_htm_42419e0e.gifなのだから、第15回 級数の定理_htm_m39ec3768.gifは単調増加。

有界で単調増加なのだから、第15回 級数の定理_htm_m39ec3768.gifは収束するにゃ。

よって、第15回 級数の定理_htm_m592a908f.gifは絶対収束するんだにゃ。

 



タグ:数列 級数 極限
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