第35回 べき級数の性質 [ネコ騙し数学]
第35回 べき級数の性質
前回、べき級数の収束半径の話を少ししましたが、より厳密な話をするために次の定理を上げるケロ。
定理1
べき級数(整級数)がx=r(r≠0)で収束するならば、|x|<|r|では広義一様収束
【証明】
はx=rで収束するので、任意のnに対してを満たすKが存在する。
で、|x|≦ρ<|r||となるようなρをとると
となり、
さらに、ρ<|r||なのでρ/|r|<1となり、
は収束し、ワイエルシュトラスの定理より[-ρ,ρ]上で(広義)一様収束する。
さらに、定理をもうひとつ。
定理2
べき級数がx=r(r≠0)で発散するならば、|x|>|r|では発散する。
【略証】
|x|>|r|で収束するとすると、定理1より、|x|<|r|では収束することになるが、
仮定よりx=rで発散している。これは矛盾。
よって、発散する。
この定理1,定理2の2つがあって、べき級数の収束半径が定義できるんだけケロ。
|x|<Rでべき級数が収束し、|x|>Rで発散するとき、このRを収束半径という。
収束半径Rの求め方については、前回やったので、ここではあらたに述べないにゃ。
で、|x|<Rでが一様収束するとき、この極限関数は連続になるし、積分、微分も可能になる。
べき級数は関数項級数の一つなのだから。
本当は、収束半径が変わらないことを証明しないといけないんだけれど、煩瑣なだけだし、さり気なく次の定理を出す。
定理3 (項別微分・項別積分)
べき級数が収束半径を0<R≦∞とする。この時、-R<x<Rならば
まっ、そういうことだケロ。
ただ、微分のところでΣの下に付いている奴がn=0からn=1に変わっていることに注意してほしいケロ。
という表記は、内緒だけれど、ズルしているんだケロ。
n=0のとき、としているんだ。うるさいことを言うと、これはちょっとまずいんだケロ。
x=0のとき、としているんだけれど、実は、この値は存在しない(^^ゞ
なので、本当ならば、
整級数(べき級数)は
と書くべきなんだケロ。
それはそれとしまして、
これを微分すると、は定数なので0となり、
になる。
だからね。今回は少し短いけれど、べき級数の微分・積分などの具体的な計算は次回以降ということで。
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