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第21回 線積分2 [ネコ騙し数学]

第21回 線積分2


以下に定義される滑らかな曲線Cがあるとする。

  

この曲線上で定義されるベクトル関数(ベクトル場)ACに沿っての線積分は

  

で定義される。


前回、ここまで話をしたにゃ。

で、その復習をかねて、次の問題をやることにするにゃ。


問題1 ベクトル関数をA=xi–yjとする。xy平面上で、原点OからP(1,1,0)にいたる放物線y=x²を曲線Cとするとき、Cに沿ってのAの線積分の値を求めよ。

また、x軸上にそって、原点からx=1の点Qにいたり、次に直線に沿って点Pにいたる曲線C’に沿ってのAの線積分の値を求めよ。

【解】

Cに沿っては、y=x²であるから

  


あるいは、x=tとおくと、y=x²=t²になるので、

  

  

と計算してもいい。


C'の場合は、曲線を線分OQと線分QPに分けると

  

となる。

OQに沿ってはy=0なのでdy=0となるので、

  

QPにそっては、x=1だからdx=0になり

  

となる。

よって、

  


この問題1から、一般に、始点と終点が同じであったとしても、積分経路によってベクトル関数の線積分の値は違うことがわかるにゃ。


問題2 スカラー関数φ(x,y,z)を一価関数であるとすると、点Pから点Qにいたる曲線Cに沿っての∇φの線積分は

  
である。

【解】

  

よって、

  


φ(x,y,z)を一価関数とし、点Pから点Qにいたる2つの曲線をC₁C₂とすれば、上の問題2より

  

となり、PからQにいたる曲線に沿っての∇φの線積分は、2点PQの位置関係によって決まり、PからQにいたる曲線とは関係がない。

また、φ(x,y,z)が一価関数であるとき、閉曲線Cに沿っての積分は0である。

つまり、

  

となる。


Pを始点とし終点とする閉曲線Cがあるとする。
vec_kyoku1.jpg
で、Pと異なる閉曲線上の点をQとし、図のように、PからQにいたる曲線をC₁QからPC₂とする。

vec_kyoku2.jpg

このとき、

  

閉曲線C=C₁+(−C₂)だからだにゃ。


このことが言っていることは、ポテンシャルを有するベクトル関数の線積分の値は、始点と終点のみで決まるということ。そして、閉曲線上でぐるりと一周、線積分すれば、その値は0になるということだにゃ。

そして、ポテンシャルを有するベクトル関数の線積分は、Cが複雑で簡単に計算できないというとき、Cと始点と終点を同じにする(計算が容易な)C'という曲線で線積分の計算をしていいということになる。


たとえば、A(x,y,z)=xi+yiというベクトル関数があるとする。

この関数Aは、

  

とすると、

  vec2101.png

になるので、原点を始点とし点P(1,1,0)に至る任意の曲線Cに対して、Cに沿ってのAの線積分の値は

  vec2102.png

となる。
問題1の2つの曲線に沿って線積分の値を計算して、実際に、こうなるか確かめてみるといいにゃ。

と言っても、計算しないだろうから、C’の計算を示すと、

  vec2203.png

となる。

手抜き計算だけれど(^^


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