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第27回 ガウスの発散定理2 [ネコ騙し数学]

第27回 ガウスの発散定理2


ガウスの発散定理


空間の領域Vとその境界の閉曲面Sにおいて、ベクトル場Aが連続な導関数をもつならば

である。


ベクトル場Aを次のように成分に分けて書くと

  

ガウスの発散定理は次のように書くことができる。

  vec2701.png


で、早速、問題を。


問題1 次の面積分の値を求めよ。

  

ただし、Sは上半球面:からなる。

【解】

A=xz²i+(x²y–z)j+(2xy+y²z)kとすると

  

よって、ガウスの発散定理より

  

で、三次元の極座標

  

を使うと、

  

となる。


問題2 閉曲面Sで囲まれた領域Vにおいてスカラー関数をφ(x,y,z)とし、Sの法線方向に対する方向微分係数をdφ/dnとする。この時、次のことを証明せよ。

(1)

  

(2)φが調和関数ならば、

  

【解】

(1) A=∇φとすると、ガウスの発散定理より

  

で、

  

そして、

  

よって、

  


(2)φは調和関数なので、

  

よって、

  


本や問題によっては、上の問題の方向微分をdφ/dnではなく∂φ/∂nと書いてある場合もあるので、この点は注意が必要。同じもので、表記が違うだけです。


定理というほどのものではないと思うけれど、定理らしいのであげておくにゃ。


定理 スカラー場φとベクトル場Aの共通の定義域内にある任意の領域Vと領域その境界面Sについて

  

であれば、φ=∇Aである。

【証明】

ガウスの発散定理より

  

よって

  

φ–∇Aは連続であり、任意のVについて上の関係が成り立つので、φ–∇A=0である。よって、

(証明終)

 

これは「連続」かつ任意の領域Vで成り立つので、上の定理が成り立つ。



問題3 閉曲面Sで囲まれた領域Vにおいて、スカラー関数φ(x,y,z)、ベクトル関数をA(x,y,z)とする。

(1) 次のことを証明せよ。

    

(2) A=∇φ、∇²φ=0ならば

  

【解】

(1) ガウスの発散定理から

  

また、∇・A)=∇φA+φ∇Aだから

  

(2)A=∇φとし(1)の式に代入すると

  

φは調和関数なので∇²φ=0で上の式の第2項は0

よって、


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