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第31回 ソレノイド的なベクトル場 [ネコ騙し数学]

第31回 ソレノイド的なベクトル場


ある領域で恒等的にdiv A=∇A=0となるベクトル場を回転的、またはソレノイド的管状湧き出しなし)であるという。


領域Dで連続なベクトル場Aが他のベクトル場pによって

 A=rot p=∇×p

とあらわされるとき、Aはベクトルポテンシャルをもつといい、pAベクトルポテンシャルという。

A=∇×pのとき、∇・A=∇(∇×p)=0になるので、ベクトルポテンシャルをもつベクトル場はソレノイド的になる。


単連結領域において、A=∇×p₁=∇×pとあらわさせるとする。このとき、恒等的に∇×(p₁−p₂)=0が成り立つので、前回の定理よりp₁−pはスカラーポテンシャルφをもち、p₁−p₂=∇φとなる。

つまり、pがベクトル場Aの一つのベクトルポテンシャルであるとき、p+∇φもベクトルポテンシャルになる。

A=∇×pとすると、∇×(∇φ)=0だから、

  ∇×(p+∇φ)=∇×p+∇×(∇φ)=∇×p=A

となるので、p+∇φAのベクトルポテンシャルになっている。

では、単連結領域において非回転的であるとき、つまり、∇×A=0であるときスカラーポテンシャルφが存在するように、回転的なとき、つまり、∇・A=0のときベクトルポテンシャルpは存在するのかという問いに答えるのが、次の定理。


定理 全空間において連続な偏導関数をもつベクトル場Aがソレノイド的であるとき、A=rot p=∇×pとなるベクトルポテンシャルが存在する。

【証明】

任意の1点(x₀,y₀,z₀)を選びベクトルポテンシャルを次のように定義する。

  

この回転を計算すると、∇・p=0だから

  

となる。

同様に、

  

となる。したがって、このpAのベクトルポテンシャルである。

(証明終)


上の証明は何を書いているからわからないと思う。

  


  

という連立偏微分方程式の解の一つ。

として、②と③を解くと

  

で、これを①に代入すると

  

となって、④より

  

だから、

  

で、φ=0とすると

  

となり、
  vec3104.png

となる。


問題 ベクトル場A=xyi−zxj+(x²+y²)kが回転的であることを示し、かつ、そのベクトルポテンシャルを求めよ。

【解】
  vec3101.png

よって、回転的である。

混乱しないと思うから、ξxηxとするけれど、
  vec3202.png

を、x₀=0として使うにゃ。

  vec3203.png


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