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第5回 独立試行と二項分布 [ネコ騙し数学]

第5回 独立試行と二項分布


§1 独立試行の確率

1回の試行で事象Aの起こる確率をpとすると、この試行をn回繰り返した場合、事象Ar回起こる確率

  

である。

 


問1 袋の中に赤球1個、白球4個が入っている。この中から1個取り出して、もとに戻すことを3回繰り返す。この場合、赤の出る回数をXとして、Xの確率分布を求めよ。

【解】

取り出した球を戻すので、赤球の出る確率p=1/5、白球の出る確率q=4/5

この問題の場合n=3

Xの取りうる値は0123

X=rの時の確率をP(X=r)と書くことにすると、
  statics-05-01.png

したがって、確率分布は次のようになる。

  statics-tab-05-01.png

(解答終了)


この問題には出ていないけれど、赤球の出る回数rの期待値m

  

である。


§2 2項分布


変量X01、・・・・・・、nの値をとり、それらの値をとる確率が

  

で与えられる確率分布を2項分布という。

その平均・期待値m、標準偏差σ

  

である。

(2)、(3)を使えば、問1の平均値、標準偏差は

  

と、複雑な計算をすることなく、すぐに求めることができる。

 


【(2)の証明】

  

2項定理より

  statics-05-02.png

xで微分すると、
  statics-05-03.png

x=1を代入すると、

  

p+q=1だから

  

(証明終わり)

【(3)の証明】

  

また、

  

よって、
  

ここで、①の両辺をxで微分すると、

  statics-05-06.png

x=1を上式に代入すると、

  statics-05-07.png

これを②に代入すると、

  

(証明終わり)


問2 10%の不合格品を含む同じ製品の一山がある。この中から任意に4個を取り出すとき、その中に含まれる不良品の数Xで確率分布の表で示し、Xの平均値、標準偏差を求めよ。

【解】

X=rである確率

  statics-05-08.png

したがって、確率分布表は

statics-tab-05-02.png

  

したがって、平均値=0.4、標準偏差=0.6

(解答終了)



問題 1回の試行で事象Aの起こる確率がpであるとき、n回の試行の内、事象Aが最も起こりやすい回数を求めよ。

【解】

r=kのとき、確率が最大になるとすると、

  

したがって、

  

そこで、①より
  statics-05-09.png

②に対しては、③のkk+1と置き換えて、不等号の向きを入れ替えると、

  

③と④より、

  

を満たす整数kのとき、事象Aは最も起こりやすい。

(解答終了)



問3 1個のさいころを40回投げるとき、1つの目が何回出る確率が最も高いか。

【解】

n=40p=1/6

(4)より
  statics-05-10.png

よって、6回のとき確率は最大になる。

(解答終了)
タグ:統計

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