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第8回 チェビシェフの不等式と大数の法則 [ネコ騙し数学]

第8回 チェビシェフの不等式と大数の法則


チェビシェフの定理(チェビシェフの不等式)

確率変数Xの平均、標準偏差をそれぞれmσであるとすると、次の不等式が成り立つ。

  statics-08-01.png

ただし、kは任意の正の数とする。

これをチェビシェフの不等式という。

【証明】

確率変数Xの値がであるときの確率をそれぞれとすると、

  

そこで、に属するグループと、にわけると
  

そして、

  

(証明終了)

ベルヌーイの大数の法則

1回の試行において事象Aの起こる確率をpとし、n回の試行において事象Aの起こった回数をrとすると、任意の正数εに対して

  

である。

【証明】

Aの起こる確率分布は2項分布だから、平均、標準偏差は

  

チェビシェフの不等式

  

に代入すると、

  

それで、

  

よって、

  

εは任意の正数だから

  

とおくことができ、

  

したがって、

  

p.qεは正の定数だから

  

したがって、

  

である。

(証明終了)


n個の値の算術平均(相加平均)をmとし、標準偏差をsとするとき、これらのn個の内の不等式

  


  

よりも多い」

という定理を用い、ある学級の生徒数は280人で、その平均点は62点、標準偏差は4点であるという情報だけから54点と70点の何人より多く、また、50点と74点の間にあるものは何人より多いか判断せよ。

【解】

54≦x≦70のとき、m=62s=4だからk=2

したがって、

  

よって、210人より多い。

50≦x≦74のとき、k=3だから

  

したがって、248人より多い。

(解答終了)


得点を確率変数Xとする。Xの分布が正規分布に従っているとすると、

  

とおくと、Zは標準正規分布N(0,1)に従う。

  

だから、

  

したがって、54≦x≦74の区間にいる生徒数は

  

となり、約267人になる。

同様の計算をすると、50点と74点の区間にいる生徒数は279人となり、ほぼ全員、この区間に収まることになる。

ちなみに、70点は偏差値70、74点は偏差値80である。

statics-graph-08-01.png


タグ:統計

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