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第3回 広義積分の収束判定法 [ネコ騙し数学]

第3回 広義積分の収束判定法


広義積分の収束判定に関する定理を幾つか紹介することにする。


定理1

関数fを半開区間(a,b](あるいは[a,b))で連続とする。が収束するための必要十分条件は、任意の正数εに対して正数δが存在が存在し、a<p<q<a+δ(またはb−δ<p<q<b)に対して

  

が成り立つことである。


定理2(比較判定法)

関数f(x)g(x)(a,b]で不定積分をもち、

  

であるとする。

このとき広義積分が収束すれば、広義積分も収束する。

区間[a,b)[a,∞)(−∞,b]についても同様である。

【証明】

a<t<bとする。
  kougi-03-01.png

とすると、広義積分が収束するので、

  kougi-03-02.png

であり、は収束する。

したがって、定理1より任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して
  kougi-03-03.png

よって、

  kougi-03-04.png

となり、、つまり、広義積分は収束する。

[a,b)[a,∞)(−∞,b]についても同様である。

(証明終了)



このような関数g(x)優関数という。


蛇足ながら、条件|f(x)|≦g(x)a<x≦b)より、a<x≦bにおいてg(x)≧0だから

  kougi-03-05.png

となり、

  

である。


定理3

関数f(x)(a,b]で不定積分をもち、広義積分が収束すれば広義積分も収束する。

[a,b)[a,∞)(−∞,b]についても同様である。

【略証】

広義積分は収束するので、任意のε>0に対して、あるδが存在し、

   kougi-03-06.png

よって、

  kougi-03-07.png

[a,b)[a,∞)(−∞,b]の証明についても同様。

(略証終了)

 


問1 広義積分

  kougi-03-08.png

が絶対収束することを示せ。

【解】

x≧0のとき

  kougi-03-09.png

である。

また、
  kougi-03-10.png

は、t>0とすると

  kougi-03-11.png

となり、広義積分は収束する。

したがって、定理2より広義積分は収束し、広義積分は絶対収束する。

(解答終了)

 


問2 広義積分

  kougi-03-12.png

が収束することを示せ。

【解】
  kougi-03-13.png

と考える。

右辺第1項は[0,1]においてが連続なので通常の積分なので存在する。したがって、右辺第2項の広義積分

  

の収束判定をすればよい。

x≧1のとき

  kougi-03-14.png

α=3/2>1だから補題より広義積分は収束する。

したがって、定理2より
  kougi-03-15.png

は収束する。

よって、広義積分

  

は収束する。

(解答終了)



問3 広義積分

  

が条件収束することを示せ。

【解】

  

と分けて考えることにする。

右辺第1項の

  

については、(0,π/2]

  

であり、

  

とおけば、定理2より広義積分

  

は収束する。

したがって、広義積分

  

が収束することを示せばよい。

そこで、π/2<tとすると

  

ここで、

  

また、

  

であり、
  kougi-03-17.png

と収束するので、定理2より広義積分

  kougi-03-18.png

も収束する。

したがって、広義積分
  kougi-03-19.png

は収束する。

(解答終了)


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