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第16回 第15回の問題の別解 [ネコ騙し数学]

第16回 第15回の問題の別解


第15回の解答とは違う解答を紹介することにする。


問題1

  

を示し、この値を求めよ。

【解】

t=π/2−xとおくと、x=0のときt=π/2x=π/2のときt=0、また、dx=−dtだから
  bekkai-01.png

よって

  

である。
  
ここで、

  

とおくと、n≧2に対して

  

I₀I₁を求めると

  

したがって、

nが偶数のとき

  bekkai-03.png

nが奇数のとき

  bekkai-07.png

である。

(解答終了)

 


問題2 次の等式が成立することを証明せよ。

  

【証明】

ベータ関数の三角関数表示は

  

p=qとすると
  

2θ=tとおくと、θ=0のときt=0θ=π/2のときt=π、またdt=2dθだから

  

ここで、

  

と分解し、右辺第2項の積分に対して、s=π−tとして、置換積分を施す。

このとき、t=π/2のときs=π/2t=πのときs=0、またdt=−dsだから

  

したがって、

  

よって、①は

  

ここで

  

と変形すると、

  

となる。

したがって

  

よって
  bekkai-06.png

(証明終)



y=sinx-graph.pngベータ関数とガンマ関数には

  

という関係がある。

また、

  

の証明は、sintt=π/2に対して対称だからでもOK!!
(右図参照)

第15回 ベータ関数、ガンマ関数の問題2 [ネコ騙し数学]

第15回 ベータ関数、ガンマ関数の問題2


問題1

  

から次のことを導け。

(1) 


(2) 

ただし、

  


(3)

  

【解】

(1) p=1/2q=1/2として代入すると

  

また、

  

ここで、x=sin²tとおき置換積分すると

  

したがって、

  


(2)

  

(3) ベータ関数の三角関数表示は

  kougi-15-03.png

nが偶数のとき、n=2mm=1,2,・・・)とおくと

  

n=3,5,・・・のとき、n=2m+1m=1,2,・・・)とおくと

  

(解答終了)


 


問題2 次の問いに答えよ。

(1) 次の等式が成り立つことを示せ。

  

(2) t=4x(1−x)と変換することによって、次を導け。

  

(3) 次の等式が成立することを示せ。

  

【解】

(1)

  

x=1−tとおき、右辺第2項を置換積分すると、

  

よって、

  


(2) t=4x(1−x)とおくと、x=0のときt=0x=1/2のときt=1

  

x²−x+t/4=0を解くと

  

x=0のときt=0x=1/2のときt=1

という条件を満たすのは

  

だから、

  

よって、

  

したがって、
  

(3)

  

(解答終了)


平均値の定理の問題の続き [ネコ騙し数学]

平均値の定理の問題の続き


問題 f級の関数とする。

f’’(x)≠0ならば

  

とするとき

  

であることを証明せよ。

この問題を解く前に、


拡張された平均値の定理

f(x)が閉区間[a,b]級で、開区間(a,b)で2回微分可能であるとき

  

となるcが少なくともひとつ存在する

【証明】

  

となるようにkを定める。

  

とおく。

F(x)は、F(a)=F(b)=f(b)で、[a,b]で連続、(a,b)で微分可能だから、ロールの定理より

  

となるcが存在する。

  

だから、

  

したがって、

  

となるcが少なくともひとつ存在する。

(証明終)


ちなみに、

  


b−a=hとおき、

  

とおくと、0<θ<1となるので、(2)式は

  


これで問題を解く準備が整った。


問題 f級の関数とする。

f’’(x)≠0ならば

  

とするとき

  

であることを証明せよ。

【証明】

f'(x)に平均値の定理を用いると

  

ここで、k=θhとおくと

  

これを平均値の定理

  

に代入すると、

  

また、

  

f’’(x)≠0f'は連続だから、hを十分小さくとれば、

  

と②より
  

f(x)級、つまり、f’’(x)は連続だから

  

(証明終)

第14回 広義積分の問題2 [ネコ騙し数学]

第14回 広義積分の問題2



問題1 次の広義積分の値を求めよ。

  

【解】

(1)

  


(2)

  

(3) x=sin²θ0≦θ≦π/2)とおくと

  

x=0のときθ=0x=1のときθ=π/2

よって、

  

(4) t=x²とおくと

  


よって、

  

ここで、

  

とおき、n≧1に対して部分積分を用いると、

  

したがって、

  

I₀

  

だから、

  

したがって、

  

(解答終了)

ベータ関数、ガンマ関数を用いると(3)と(4)は次のように解くことができる。


【別解】


(解答終了)


問題2 f(x)[0,∞)で連続であるとき、次のことを示せ。

(1) f(x)が有界であるならば、は絶対収束する。

(2) f(x)が非負かつ単調減少でが収束するならば、である。

【解】

(1) f(x)は有界だから、[0,∞)において

  

となる定数Mが存在する。

したがって、[0,∞)において

  

したがって、絶対収束する。

 


(2) と仮定すると、[0,∞)においてf(x)≧c

  

となり、は発散する。

が収束することと矛盾するので、である。

(解答終了)

無限級数の場合、が収束するならばは成立するが、

広義積分の場合、が収束するならばという命題は必ずしも成立しないので注意。


今日のアニソン、「ささみさん@がんばらない」から『浸透圧シンフォニー』 [ネムネコ備忘録]

今日のアニソン、「ささみさん@がんばらない」から『浸透圧シンフォニー』です。




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広義積分と複素積分を使って定積分の値を求める [ネコ騙し数学]

toketa-gprah-01.png問題 次の積分の値を求めよ。

  

【解】

まず、

  

の不定積分を求めることにしよう。

 

  

とおくと

  

になるから

  

不定積分は求まった。

ここで、

  

と分解。

u=θ−2πとして、右辺第2項の積分を置換積分すると、θ=πのときu=−πθ=2πのときu=0、さらに、dθ=duとなるので、

  


ということで、ε>0として

  

(解答終了)

不定積分を用いてこの定積分の値を求めようとすると、広義積分になってしまう。



【別解】

  

(解答終了)

微分積分の範囲で解けてしまったね。


また、複素関数の積分と留数定理を使うと、次のように求めることができる。


 

【別解2】

とすると、これはガウス平面(複素平面)の単位円|z=1となり、さらに

  

となるので、

  

z²+4iz−1=0の解をαβとすると

  

したがって、単位円|z=1の内部にある極はαのみとなり、その留数を求めると

  

留数定理より

  


teiseki-fukuso-00.png

(別解2終了)


定積分の値は求められましたか? [ネコ騙し数学]

「ねむねこ幻想郷」で私の数学の記事を読んでいらっしゃる皆さんは、次の定積分の値を求められましたか?

問題 次の積分の値を求めよ。
  


ヒントは、下のグラフです。





この積分の答えは、
 2π/√3≒3.627598728
だにゃ。



の値とも一致しているので、間違いはなさそうだ。

次の不定積分は

  

まず、

  

とおくと

  

になるから

  


これで、不定積分は求まった。


この結果を使って何も考えずに機械的に問題の定積分を計算すると、

  


へっ、へっ、へっ、へっ。

安易な公式至上主義打倒だにゃ!!


この計算のどこがおかしいか、わかるケロか。

なお、
このように計算してはいけないことのヒントは上のグラフにあるにゃ。





さらに、次の曲を♪



上記の内容は、ネムネコの数学専門ブログ「ねこ騙し数学」にある煽り記事2つを、「ねむねこ幻想郷」用に編集し、一部改変したものです。



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平均値の定理の問題 [ネコ騙し数学]

平均値の定理の問題


heikinchi-graph-01.png平均値の定理Ⅰ

関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能ならば

  

となる点cが少なくとも1つ存在する。

平均値の定理Ⅱ

関数f(x)が閉区間[a,b]で連続、開区間(a,b)で微分可能ならば

  

となるθが少なくともⅠつ存在する。

b−a=hと置けば、平均値の定理は

  

である。

 


問題1 f(x)=√xa=1b=9のとき、平均値の定理

  

が成立するcの値を求めよ。

【解】

  

a=1b=9だから

  

(解答終了)


この問題の場合、

  

で、点cは点a、点bの中点になっている。

 


問題2 のとき、平均値の定理

  

になるθを求めよ。

【解】

  

したがって、
  

(解答終了)



θ=1/2だから、問題2も点aと点a+hの中点になっている。

θ=1/2という数字には何か秘密がありそうな・・・。


問題3 f(x)=x³のとき、等式

  

となるθについて、を求めよ。

【解】

  

だから、

  

両辺のh→0の極限を取ると

  

左辺の極限

  

となるから、

  

(解答終了)

ここでも、θ=1/2という数字が出てきた。



問題4 f(x)は連続な第2次導関数f''(x)を持つ関数で、とする。

平均値の定理によれば

  

となるθが存在するが、このθhに関係なく一定であれば、θ=1/2でなければならないことを証明せよ。

【解】

  

の両辺をhで微分すると、θhに関係なく一定だから、

  

両辺をhh≠0)で割り、h→0の極限を取ると
  

(解答終了)


これは、もはや、偶然とは呼べないだろう。


実は、

関数f(x)級数で、f''(x)=0ならば、

  

とするとき、

  

と必ずなるのであった。
タグ:微分積分

「たしかに愛(i)はあるにゃ、途中で出てくるにゃ」 [ネコ騙し数学]

「ねむねこ幻想郷」の皆さんにお尋ねしますが、
次の積分の値を求められますか?
 ――できるとは思っていない(^^ゞ――


問題 次の積分の値を求めよ。
  


この(定)積分の値が存在することは、閉区間[0,2π]

  

が連続であることより疑いようがない。

したがって、

  

は、「たしかに」あるにゃ。





「確かに愛(i、i²=−1)はある」にゃ。

数学の公式集や、運良く持っている数学の本にこの一般形の公式が出ているかもしれないけれど、
どんな手段を使ってもいいから、この積分の値を求めて欲しいにゃ。


解析的に解けない人は、シンプソン法や台形公式を使ってこの定積分の近似値を求めてもいいにゃ。
 ――これだって立派な解法だ!!――


ちなみに、Bloggerにおいてある数値積分のスクリプトによると、この計算結果は次の通り。

(上のものはイメージです。計算ボタンをクリックしても計算はしてくれない)


このスクリプトで計算したい物好きは、
http://nemneko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_14.html




ただ、この2つの曲を紹介したかっただけです(^^)


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第13回 ラプラス変換入門2 微分方程式への応用 [ネコ騙し数学]

第13回 ラプラス変換入門2 微分方程式への応用


§1 ラプラス逆変換


ラプラス変換の微分方程式の応用について述べる前に、まず、その前提になるラプラス逆変換の定義をあらためて提示し、ラプラス逆変換の簡単な問題を解くことにする。

関数f(t)のラプラス変換 

  kougi-13-01.png

であるとき、ラプラス逆変換は

  

で定義される。

例えば、

  

のラプラス変換は
  

したがって、

  

となる。

上では、積分することでラプラス変換を求めているけれど、この計算をすることなく、前回紹介したラプラス変換表を利用してもよい。

下の表を見れば

  

となることがすぐにわかる。



問 次のラプラス逆変換を求めよ。

  

【解】

(1) これは

  

を利用すればよい。

  

そして、n=3a=−1とおくと

  kougi-13-03.png


(2) まず

  

と部分分数に分解する。

そして、

  

ここでは、

  

という公式を使っている。

このばあい、a=−1a=−−2であることに注意!!


(3)

  

ここでは、a=1ω=1として

  

を使っている。

(解答終了)


§2 ラプラス変換の微分方程式へ応用


y=f(t)[0,∞)上の級とする。そして、この導関数y'=f'(t)のラプラス変換を考えることにする。

ラプラス変換は

  

だから、

  

右辺の広義積分を部分積分すれば、
  
そして、次の極限が

  

に収束するとき、導関数f'(t)のラプラス変換は次のようになる。

  



定理(導関数のラプラス変換)

[0,∞)上の級関数f(t)がある2つの定数aM>0に対して

  

を満たすとき、s>aに対して

  

である。

【証明】

R>0とする。
  

条件より

  

よって、

  

(証明終了)

 


2次導関数f''(t)については、

  

以上の結果をまとめると、

  



問2 ラプラス変換を用いて、次の微分方程式を解け。

  

【解】

L(y)=Yとおくと、

  

だから、微分方程式の両辺をラプラス変換すると
  kougi-13-08.png

s+2で両辺を割ると

  kougi-13-09.png

ラプラス逆変換すると、

  kougi-13-10.png

(解答終了)


なお、上の計算では、ラプラス変換表の

  

という公式を用いている。

もっとも、ラプラス変換表を見るまでもなく

  

と簡単に求めることができる。


ラプラス(逆)変換を用いれば、面倒な積分の計算をせずに、ラプラス変換表と代数的な演算で微分方程式の解を求めることができる。



問3 次の微分方程式の解を求めよ。

  

【解】

L(y)=Yとおくと

  kougi-13-12.png

微分方程式の両辺をラプラス変換すると、

  kougi-13-13.png

ラプラス逆変換すると、

  kougi-13-14.png

(解答終了)


ラプラス変換を用いると、積分の計算をせずに、微分方程式を解けるという話。


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