関数空間と距離の初歩の初歩 [ネコ騙し数学]
関数空間と距離の初歩の初歩
Cを有界閉区間[a,b]で連続な関数のすべてを集めた集合とし、記号C[a,b]で表すことにする。
fとgを[a,b]で連続な関数とすると、
だにゃ。
そうすると、[a,b]で
は連続だから、|f(x)−g(x)|は[a,b]で最大値を必ずもつ。
そこで、
と、d(f,g)を定義する。
(1)式のは、[a,b]での関数の最大値のこと。
さてさて、(1)のように定義すると、
また
であることは明らかだろう。
さらに、
も明らかだろう。
h∈C[a,b]とするとき、三角不等式から
したがって、
つまり、(1)のように定義すると、次の距離の公理をすべて満たす。
(1)式で、有界閉区間[a,b]で連続な関数の距離を定義できるというわけ。
また、距離の公理の条件(ⅰ)〜(ⅲ)を満たすものならば、どれを距離に選択してもよい。
オレは(1)式の距離の定義は嫌いだ。だから、f,g∈C[a,b]の距離を
と定義したい。
いいにゃ、いいにゃ、素晴らしいにゃ。
――ただし、(2)を使いたいならば、(ⅰ)〜(ⅲ)を満たしていることを証明してから使うこと!!――
我々が通常、距離と呼ぶものは、ユークリッド距離と呼ばれるもので、数ある距離の一つにしか過ぎない。
問題1 [0,1]で定義された関数f(x)=x²とg(x)=xがあるとする。(1)式で定義された距離d(f,g)を求めよ。
【解】
[0,1]ではx²≦xだから、
したがって、x=1/2のとき、最大値は1/4。
よって、fとgの距離d(f,g)は
(解答終)
問題2
(1) 閉区間[0,1]で定義される関数f、g,hが、f(x)=x²、g(x)=x、h(x)=x³であるとき、
が成立することを確かめよ。
(2) 次のことを証明せよ。
ベクトル関数の発散 [ネコ騙し数学]
ベクトル関数の発散
ベクトル関数A(x,y,z)のx、y、z成分をとする。すなわち、
とする。
このとき、
をベクトル関数Aの発散と言い、記号
などであらわす。
すなわち、
である。
ハミルトン演算子∇は
だから、ベクトル関数Aの発散∇・Aは
と、ハミルトン演算子∇とベクトル関数Aの内積と考えることができる。
問1
の発散を求めよ。
【解】
(解答終)
問2 原点に対する位置ベクトルをrとするとき、次の発散を求めよ。
【解】
(1)
だから、
(2) のx成分をとすると、。
同様に、
よって、
(解答終)
なお、
は暗記物!!
ベクトル関数Aが
の発散は、
である。
と書き、
とおけば、これは微分演算子∇²をφに作用させたものと考えることができるから、
∇²をラプラス演算子、ラプラシアンと呼び、∇²のかわりに記号Δを使うこともある。
また、微分方程式
はラプラス方程式と呼ばれ、これを満足する関数を調和関数という。
問3 原点からの距離をrとすると、
であることを示せ。
【解】
同様に、
したがって、
問2より
よって、
(解答終)
問3より、
は、ラプラス方程式∇²=0を満たすので、調和関数である。