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第17回 陰関数定理 [ネコ騙し数学]

第17回 陰関数定理

 

定義 (陰関数)

xyに関する関係式f(x,y)=0に対して、関数y=φ(x)

  

を満たすとき、y=φ(x)f(x,y)=0によって定まる陰関数という。

 

例えば、f(x,y)=x²–y²–1= 0 とする。このとき、

  

とすれば、

  

となるので、は関係式f(x,y)=x²–y²–1= 0 で定まる陰関数である。



定理18 (陰関数定理)

(x₀,y₀)を含む領域でf(x,y)級とする。

ならば、点(x₀,y₀)を含む近傍でf(x,y)=0の定める級の陰関数y=φ(x)がただ1つ定まり、次の関係が成り立つ。

  tahen-dai17-siki-002.png

inkansu-graph-001.png【証明】

とする。

関数f(x,y)級だから点(x₀,y₀)のある近傍でである。

x=x₀で固定すると、だからf(x₀,y)yに関して単調増加。

A(x₀,y₁)を近傍内の点とすると、y₁<y₀f(x₀,y₁)<0B(x₀,y₂)y₀<y₂f(x₂,y₂)>0である。

x₁≦x≦x₂において

  

f(x,y)は連続で単調増加だから、中間値の定理よりy₁<y<y₂となるyがただ1つ存在する。そのyの値はxの関数で、それをy=φ(x)とすればよい。

 

次に、y=φ(x)が連続であることを示す。α∈[x₁,x₂]β=φ(α)とし、任意のε>0に対して

  

とすると、

  

y₁≦y≦y₂のとき、だから

  tahen-dai17-siki-003.png

x=αで連続であるから、あるδ>0があって、

  

また、だから

  

よって、

  tahen-dai17-siki-004.png

となり、y=φ(x)x=αで連続である。

 

f(x,y)級だから平均値の定理より

  

となるθが存在する。

また、f(x+Δx,y+Δy)=f(x,y)=0だから、Δx≠0のとき

  tahen-dai17-siki-006.png

は連続だから、Δx→0のとき、

  tahen-dai17-siki-007.png

(証明終)

 

3変数関数についても陰関数定理が成り立つ。

 

定理19

関数f(x,y,z)が点(a,b,c)の近傍で級ならば、点(a,b)を含む開集合D上で級の関数z=φ(x,y)

  tahen-dai17-siki-011.png

を満たすものがただ1つ存在し、

  tahen-dai17-siki-008.png

である。

 

 

問 次の問に答えよ。

(1) 点(1/√2,−1/√2)の近傍で、関係式x²+y²=1で定まる陰関数yを求めよ。

(2) 点(1,0)の近傍で、関係式x²+y²=1で定まる陰関数を求めよ。

【解】

(1) f(x,y)=x²+y²–1=0とおくと

よって、

  

となり、陰関数定理より、点(1/√2,−1/√2)の近傍で 関係式x²+y²=1で定まる陰関数y=φ(x)が存在する。

  

とすると、

  tahen-dai17-siki-009.png

となり不適。

とすると、

  tahen-dai17-siki-010.png

よって、

 

(2) 点(1,0)における偏微分係数は

  

だから、陰関数定理により点(1,0)の近傍で 関係式x²+y²=1で定まる陰関数x=φ(y)が存在する。

x²+y²=1xについて解くと

  inkansu-teiri-siki.png

(x,y)=(1,0)を満たすのはだから、これが点(1,0)の近傍で関係式x²+y²=1で定まる陰関数である。

(解答終)

 


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