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分数関数の微分とそのグラフ [ネコ騙し数学]

分数関数の微分とそのグラフ


g(x)h(x)を多項式とするとき、y=g(x)/h(x)の形で表される関数を分数関数、または、有理関数という。

したがって、分数関数の一般形は、n,mを非負の整数とするとき、

  bunkan-01.png


分数関数の微分は、商の微分公式

  

を用いて計算できる。

  

u=xv=x²+1とおくと、

  

したがって、f'(x)
  

極値をとる点ではf'(x)=0にならなければならないから、

  

f'(x)の分母は(x²+1)²≧1>0だから、f'(x)の正負は関与せず分子の正負と同じ。したがって、分子の正負の符号だけを調べればよい。

増減表を書くと、



x



・・・



1





1





f'(x)





0





0





f(x)



減少



極小(−1/2



増加



極大(1/2



減少



f(x)の2次導関数は、

  

凸凹表は



x





−√3





0





3





f''(x)





0





0





0





凸凹



上に凸



変曲点



下に凸



変曲点



上に凸



変曲点



下に凸



また、

  bunkan-04.png

したがって、f(x)のグラフは次のようになる。


graph-130.png

このような簡単な関数ですら、分数関数の微分の計算は大変になるので、2次導関数を用いて極値の判定を行わず、増減表を書いて極値の判定を行ったほうが賢明です。

特に、問題に指示がない場合、変曲点は求めないほうがいい。

分数関数f(x)=g(x)/h(x)とすると、この微分は

  

極値をとる点をx=αとすると、

  

したがって、
  bunkan-05.png

このような関係がある。


例の
  

の場合、g(x)=xh(x)=x²+1だから、g'(x)=1h'(x)=2xだから、極値をとる点をx=αとすると、

  

になる。

この関数の場合、α=±1であるから、極値の値を上の式を用いて

  

と計算することができる。

根号などを含む複雑な値の場合、こちらを用いて計算したほうが楽である。



問 次の関数の極値を求め、グラフを書きなさい。

  

【略解】

(1)

  

したがって、

極大値 3 (x=−1

極小値 1/3 (x=1

(2)

  

極大値 3 (x=1

極小値 1/3 (x=−1


graph-131.png

(解答終わり)


(1)の関数をf(x)、(2)の関数をg(x)とすると、g(x)=1/f(x)であるから、実は(2)の極大値、極小値を計算する必要がない。
また、g(x)=f(−x)であるので、g(x)のグラフはy軸に関してf(x)と対称、したがって、g(x)y(x)y軸、すなわち、x=0で折り返したものである。



問題 xの関数

  

は、x=3において極値をとり、x=1における接線の傾きが−2であるようにabを定めよ。

【解】

  

x=3で極値をとるから、x=3のときy'=0でなければならない。

したがって、

  

また、x=1における接線の傾きが−2だから、x=1のときy'=−2

したがって、

  

b=4を①に代入すると、

  


graph-132.png

(解答終わり)


問題2 次の関数が極値を持たない条件を求めよ。

  

ただし、abは実数の定数である。

【解】

a=0のとき、f(x)=b/xとなり極値を持たない。

a≠0のときは、

  

したがって、ax²−b=0が相異なる2実根を持たないことがこの条件。

ax²−b=0の判別式をDとすると、

  

したがって、ab≦0(註)。

(解答終わり)


(註) 「ab≦0」は、「ab=0」または「ab<0」。「ab=0」は「a=0」または「b=0」だから、「a=0」は「ab≦0」に含まれる。



  

したがって、b/a>0だと、相異なる2実根を持つ。したがって、極値を持たないためにはb/a≦0でなければならない。

  

としてもいい。

a=1b=−1の場合を図に示す。


graph-133.png


タグ:微分積分

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