分数関数の微分とそのグラフ [ネコ騙し数学]
分数関数の微分とそのグラフ
g(x)、h(x)を多項式とするとき、y=g(x)/h(x)の形で表される関数を分数関数、または、有理関数という。
したがって、分数関数の一般形は、n,mを非負の整数とするとき、分数関数の微分は、商の微分公式
を用いて計算できる。
例
u=x、v=x²+1とおくと、
したがって、f'(x)は
極値をとる点ではf'(x)=0にならなければならないから、
f'(x)の分母は(x²+1)²≧1>0だから、f'(x)の正負は関与せず分子の正負と同じ。したがって、分子の正負の符号だけを調べればよい。
増減表を書くと、
x | ・・・ | −1 | … | 1 | … |
f'(x) | − | 0 | + | 0 | − |
f(x) | 減少 | 極小(−1/2) | 増加 | 極大(1/2) | 減少 |
f(x)の2次導関数は、
凸凹表は
x | … | −√3 | … | 0 | … | √3 | … |
f''(x) | − | 0 | + | 0 | − | 0 | + |
凸凹 | 上に凸 | 変曲点 | 下に凸 | 変曲点 | 上に凸 | 変曲点 | 下に凸 |
また、
したがって、f(x)のグラフは次のようになる。
このような簡単な関数ですら、分数関数の微分の計算は大変になるので、2次導関数を用いて極値の判定を行わず、増減表を書いて極値の判定を行ったほうが賢明です。
特に、問題に指示がない場合、変曲点は求めないほうがいい。分数関数f(x)=g(x)/h(x)とすると、この微分は
極値をとる点をx=αとすると、
したがって、
このような関係がある。
例の
になる。
この関数の場合、α=±1であるから、極値の値を上の式を用いて
と計算することができる。
根号などを含む複雑な値の場合、こちらを用いて計算したほうが楽である。
問 次の関数の極値を求め、グラフを書きなさい。
【略解】
(1)
したがって、
極大値 3 (x=−1)
極小値 1/3 (x=1)(2)
極大値 3 (x=1)
極小値 1/3 (x=−1)
(解答終わり)
(1)の関数をf(x)、(2)の関数をg(x)とすると、g(x)=1/f(x)であるから、実は(2)の極大値、極小値を計算する必要がない。
また、g(x)=f(−x)であるので、g(x)のグラフはy軸に関してf(x)と対称、したがって、g(x)はy(x)をy軸、すなわち、x=0で折り返したものである。
問題 xの関数
は、x=3において極値をとり、x=1における接線の傾きが−2であるようにa、bを定めよ。
【解】
x=3で極値をとるから、x=3のときy'=0でなければならない。
したがって、また、x=1における接線の傾きが−2だから、x=1のときy'=−2。
したがって、
b=4を①に代入すると、
(解答終わり)
問題2 次の関数が極値を持たない条件を求めよ。
ただし、aとbは実数の定数である。
【解】
a=0のとき、f(x)=b/xとなり極値を持たない。a≠0のときは、
したがって、ax²−b=0が相異なる2実根を持たないことがこの条件。
ax²−b=0の判別式をDとすると、
したがって、ab≦0(註)。
(解答終わり)
(註) 「ab≦0」は、「ab=0」または「ab<0」。「ab=0」は「a=0」または「b=0」だから、「a=0」は「ab≦0」に含まれる。
したがって、b/a>0だと、相異なる2実根を持つ。したがって、極値を持たないためにはb/a≦0でなければならない。
としてもいい。
a=1、b=−1の場合を図に示す。