ワンポイントゼミ10 3次関数の接線に関する裏技 [ネコ騙し数学]
ワンポイントゼミ10 3次関数の接線に関する裏技
x=aで微分可能な関数f(x)の、x=aにおける接線の方程式は、
ところで、f(x)を多項式とするとき、(x−a)²で割った余りは、f'(a)(x−a)+f(a)である。
このことは、次のように証明される。多項式f(x)を(x−a)²で割った余りは高々1次式だから、その余りはpx+qとあらわすことができる。f(x)を(x−a)²で割った商をQ(x)とすると、
これをxで微分すると、
したがって、
また、①にx=aを代入すると
よって、余りは
である。
以上のことより、f(x)を(x−a)²で割った余りと上記のx=aにおける接線の方程式の右辺は同じものであることが分かる。
そして、このことから、整関数f(x)のx=αにおける接線の方程式がy=mx+nであるとき、になる。
f(x)が3次関数の場合、Q(x)=a(x−β)とあらわすことができる。
つまり、この両辺をxで2回微分すると、
f(x)の変曲点(c,f(c))ではf''(c)=0だから、
ところで、
したがって、x=βは、y=f(x)と接線y=mx+nの共有点のx座標である。
以上のことから、α≠βのとき、A(α,f(α))、B(β,f(β))とすると、接点Aと接点以外の交点B、そして、3次関数の変曲点は図に示すようなような位置関係にある。
つまり、
3次関数の変曲点のx座標cは、図に示すような数直線上の点α、点βを1:2に内分する点の位置にある。
⑨という関係があるから、接点Aのx座標α、交点Bのx座標βがわかれば、変曲点のx座標は⑨式から求まる。
αとcがわかれば、⑨式により、交点Bのx座標βが求められるのであった!!
問題 曲線
とx=−2における接線との共有点で、接点以外の共有点を求めよ。
【解】
y''=xだから、変曲点のx座標cは0。α=−2だから、⑨より
したがって、求める共有点のy座標は
よって、答えは(4,23/3)である。
3次関数の接線には、こういう裏技があるという話。
漸近線 [ネコ騙し数学]
漸近線
漸近線の定義
曲線上の点が原点から限りなく遠ざかっていくとき、その点からの距離が限りなく0に近づく直線を漸近線という。
例
グラフから明らかなように、この曲線は、x→1+0のときy=+∞、y→1−0のときy=−∞だからx=1はこの曲線の漸近線である。また、、x→±∞のとき、この曲線はy=xに限りなく近づいていくので、y=xも漸近線である。
漸近線がy軸に平行でなく、直線y=mx+nに近づく場合、
で求めることができる。
曲線y=f(x)上の点P(x,y)から直線y=mx+nにおろした垂線の足をQとする。
このとき、線分PQの大きさはx→±∞のとき、PQ→0だから
したがって、
よって、
したがって、
(※)
問 次の漸近線を求めよ。
【解】
(1)
したがって、
よって、y=xは漸近線。
また、
だから、x=0も漸近線。
したがって、漸近線はy=x、x=0。
(2)
よって、y=x+3が漸近線。
x=0も漸近線。
(解答終わり)
なのですが、必ずしも、このように解く必要はなく、
(1)だと、x→±∞のとき、1/x→0になるので、y=x+1/xがy=xに限りなく近づいてゆくことが分かる。
このことから、y=xが漸近線であることが分かる。
(2)の場合、
x→±∞のとき、カッコの中が限りなく0に近づくので、y=x+3が漸近線になることがすぐに分かる。
こうした議論は正確性を欠くキライがあるので、次のようにしますか。
(1)
したがって、y=xは漸近線である。
(2)
したがって、y=x+3は漸近線である。
問題 関数
のグラフが条件(1)、(2)を満足する。
(1) グラフは原点を通る。
(2) 漸近線はx=1とy=x+1である。a、b、cの値を求めよ。
【解】とおく。
条件(1)より
条件(2)より、x=1が漸近線だから、a=−1でなければならない。
また、
であり、y=x+1が漸近線であるから、b=1。
よって、
これは,
をxの正の方向に1、yの正の方向に2移動させたものだから、グラフは以下のとおり。
なお、微分法を使うと、
となり、x=0で極大、x=2で極小であることがわかる。
極大値 0 (x=0)
極小値 4 (x=2)