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ワンポイントゼミ14 物理的な思考法で解く [ネコ騙し数学]

ワンポイントゼミ14 物理的な思考法で解く


数学的な思考法ではなく、物理的な思考法で、等速円運動をする加速度の大きさを求めることにする。


原点を中心とする半径rの円周上を運動する動点があるとする。

図に示すように、

時刻tのとき、動点の位置が点P、時刻t+Δtのとき、点Qであり、PQにおける速度ベクトルを、さらに半径OPと半径OQのなす角度をΔθとする。


fig-a-01.png

等速円運動なので、

  

また、幾何学的な位置関係からのなす角度はΔθ

したがって、図に示すようなとが作る速度ベクトルの三角形は、頂角をΔθとする等辺の大きさがvである二等辺三角形になる。

  

とすると、の大きさは

  

Δθの大きさが十分に小さいとき、

  

と近似できるので、①より

  

したがって、加速度の大きさa

  

と近似される。

等速円運動なので、角速度ωは一定で

  

②に代入すると

  


微分積分を使わずに、等速円運動の加速度の大きさを求めることができた。


⑨で微分の知識を使っているのではないか?


OPQの面積は

  

であり、Δθが小さいとき

  

と近似できることは図形的に明らかだから、

  

⑨で微分は使っていない。

平面上を運動する点の速度、加速度 [ネコ騙し数学]

平面上を運動する点の速度、加速度


§1 速度ベクトル


平面上を運動する点Pの座標xyが時刻tの関数として

  

で与えられているとする。

graph-210.png

Pの時刻tにおける位置ベクトルを

  

時刻t+Δtにおける位置ベクトルを

  

とすると、
  vec-siki-01.png

Δt→0としたときの極限を、点Pの時刻tにおける速度、または、速度ベクトルといい、これをであらわすと、

  vec-siki-02.png

x方向の成分、y方向の成分を、x軸方向の分速度、y軸方向の分速度といい、であらわす。すなわち、

  vec-siki-03.png

の大きさ

  vec-siki-04.png

を速さという。

x軸のなす角をθとすると、

  vec-siki-05.png

であるから、の向きとと動点Pがえがく曲線の接線の向きとは一致する。


問 水平面とαのなす方向に初速度v₀(m/s)で投げあげた物体Pt秒後の座標を(x,y)とすれば、

  

で表される。

(1) Pはどんな曲線を描いて運動するか。

(2) Pが地面についた瞬間の速度の大きさと方向を求めよ。

【解】

(1)

  

これを

  

に代入すると

  


fig-099.png

(2) t秒後の速度ベクトル

  

とすると、
  vec-siki-07.png

t秒後に地面に到着したとすると

  vec-siki-08.png

t=0は解として不適。

よって、

  

大きさは

  

方向は
  hou-siki-00.png

したがって、θ=−α

(解答終わり)

Pの到達距離は
  hou-siki-01.png

したがって、sin2α=1、すなわちα=π/4=45°のとき、到達距離は最大になる。



§2 加速度ベクトル


速度ベクトルの時刻tにおける変化率を加速度、加速度ベクトルという。

時刻tにおける速度ベクトルを

  

時刻t+Δtにおける速度ベクトルを

  

とすると、
  

Δt→0として、点Pの時刻tにおける加速度

  

x方向の成分、y方向の成分を、x軸方向の分加速度、y軸方向の分加速度といい、であらわす。すなわち、

  

の大きさ

  

を速さという。

x軸のなす角をθとすると、

  

である。

 


問 点Pが半径rの円Oの円周上を一定の角速度ωω>0)で回転しているとき、

(1) 点Pの速度の大きさを求めよ。

(2) 点Pの加速度の大きさと向きを求めよ。

【解】

時刻t=0に点(r,0)を出発してからt秒後の点Pの座標を(x,y)とすると、

  

である。

(1) 点Pの速度ベクトルは

  vec-siki-10.png

よって、速度の大きさは

  vec-siki-11.png



(2) 加速度ベクトルは

  vec-siki-12.png  

加速度の大きさは

  vec-siki-13.png

加速度の向きは

  
よって、中心Oに向かっている。(解答終了)

 


問題 動点Pの運動がであるとき、運動の経路は楕円であることを示し、加速度の方向はこの楕円の中心に向かい、その大きさは動点の位置をPとすれば、ω²OPに等しいことを証明せよ。ただし、abωは正の定数とする。

【解】

  

よって、運動の経路は楕円

  

である。点Pの位置ベクトルを

とすれば、加速度ベクトル

  

よって、、加速度の方向はこの楕円の中心に向かい、その大きさは動点の位置をPとすれば、ω²OPに等しい。

(証明終わり)


タグ:微分積分

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