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番外編 不等式の証明 [ネコ騙し数学]

番外編 不等式の証明


いきなり、

これは次のように変形できるので、増加関数であることがわかる。


問題1 a、bが実数であるとき、次の不等式を証明せよ。

【証明】

  
よって、

  

である。

等号成立は、a=0またはb=0

(証明終わり)

こんな計算はしたくない。

そこで、ずるをするにゃ。

  

が増加関数であることを使って、証明することにする。

【ずるい証明】

  

は増加関数。

|a|+|b|≧|a+b}だから

  

また、

  futoushiki-siki-02.png

①、②より

  

である。

(証明終わり)


問題2 なるとき、の大小関係を調べよ。ただし、p>0q>0p+q=1とする。

x=yのとき、px+qy=x=yになるし、pf(x)+qf(y)=f(x)=f(y)になるので、pf(x)+qf(y)=f(px+qy)になる。次に、x≠yのときの大小関係の調べることにする。

しかし、面倒な計算はしたくないので、これから、ずるをするにゃ。


1年ほど前に、微分積分で凸関数というものをやった。凸関数は次のようなもの。

y=f(x)上の相異なる任意の2点をA(x,f(x))B(y,f(y))とすると、この2点を結ぶ線分(弦)ABがこの曲線の弧ABよりも上にあるものを凸関数という。
futoushiki-01.png
f(x)=ax²+bx+c
a>0)のときは、凸関数。で、p>0q>0p+q=1のとき、px+qyというのは、x軸上の(x,0)(y,0)q:pで分けた点と考えることができる。また、とすると、この点は線分ABq;pに分ける点と考えられる。

Dは線分AB上にあるので、曲線上のよりも上にある。

したがって、a>0のとき、面倒くさい計算をするまでもなく、

  

になる。a<0のときは、上下が逆転し、弦ABが線分ABの上に来るので、

  


2次関数の図形的な意味を考えれば、計算をすることなく、大小関係を判定できるという話。


この問題の出題者は、このことを念頭にこの問題を作ったのだから、ケチをつけられる筋合いはない。

futoushiki-02.png

また、

  

といった関数fは凹(上に凸)関数だから、
p>0
q>0p+q=1のとき

  

となるので、
  futoushiki-siki-03.png

という不等式が得られる。

等号成立は、いずれの場合もa=b

さり気なく、α≧0β≧0とし,p=1/3q=2/3とすると

  

ここで、さらにさり気なくb≧0c≧0とし

  

さらに、もっとさり気なくa≧0、、α=aβ=(b+c)/2とし、この結果を⑨に放り込むと
  

ここで、さらにもっと大胆に、a=x²b=y²c=z²とすると

  futoushiki-siki-05.png


問題3 xyzを実数とするとき、次の問いに答えよ。

(1) の大小を比較せよ。

(2) a≧3のとき、x+y+z=x²+y²+z²=aを満たすxyzの値を求めよ。

(1)の不等式がどこから出てきたのかが、よく、わかる。これは関数の凸凹と深い関係があるんだケロ。
そして、

といった不等式も同様に得ることができる。

【解】

(1) x+y+z<0のとき

  

x+y+z≧0のとき
  futoushiki-siki-06.png

よって、


(2) (1)より

また、x+y+z=x²+y²+z²=a≧3
  futoushiki-siki-07.png

よって、a=3

また、a=3のとき①の右辺=左辺=1となり、x=y=zでなければならない。

よって、x=y=z=1である。


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