微分方程式の解法3 [ネコ騙し数学]
微分方程式の解法3
§1 定数係数の2階線形微分方程式の解法
高校の微分積分では、定数係数の2階微分方程式
の解法を扱わない。
ではあるが、結論を先取りして言うならば、①の解は、2次方程式――特性方程式という――
の相異なる実根をα、βとするとき、
になる。
このことは知っておいて損はないだろう。
③が①の解になることは、
とおくと、
この結果を①に代入すると
となり、αが2次方程式の解であることより
したがって、これは微分方程式の①の解である。
同様に、も解であり、
このことからは①の解であることが証明できる。
また、逆に①がという形の解をもつとすれば、
でなければならない。
粗い議論であるが、2次方程式①が相異なる②実根α、βをもつとき、微分方程式①の解が③になることを理解できるのではないか。
1階の微分方程式
の一般解が
であることは、
として、④を解くことによって確かめられる。
そして、この場合も一次方程式
を解くことによって、微分方程式の一般解を簡単に求められる。
しかし、この結果は高校の数学の範囲を超えているので、高校の微分積分ではこの解法を採用しないことにする。ではあるが、この議論は、微分方程式の解の確認に使えるので、知ったおいて損はないと思う。
問 次の微分方程式の解を求めよ。
【解】
(1) 特性方程式を解くとよって、一般解は
(2) 特性方程式
よって、一般解は
(解答終了)
§2 連立微分方程式の解法
問題1 f'(x)=g(x)、g'(x)=f(x)、f(0)=1、g(0)=0を満たすような関数f(x)、g(x)を求めよ。
f(x)=y、g(x)=zとおくと、
zを消去するために、①をxで微分すると
yの一般解は問の(2)より
この結果を①、②のどちらに代入してzを求めても良いが、積分の計算よりも微分の計算の楽なので①を使うことにする。
①、②、ならびに、初期条件f(0)=1、g(0)=0より
したがって、
(解答終了)
このように解くことができるけれど、これは高校数学の範囲がの解法なので、この問題は次のように解くとよい。
【解】
①+②
u=f(x)+g(x)とおくと
①−②
v=f(x)−g(x)とおくと
よって、
③と④、さらに、初期条件f(0)=1、g(0)=0より
よって、
⑤+⑥
⑤−⑥
(解答終了)
問題2 平面上を運動するP(x,y)の両軸方向の速度について
の関係があるとき、Pはどのような曲線上を動くか。
【解】(解答終了)
この連立微分方程式の解を求められないことはないのだけれど、これは高校の微分積分の範囲を大きく逸脱してしまうので、これ以上は解かないことにする。