第10回 平方根 [ネコ騙し数学]
第10回 平方根
§ 平方根
2乗するとaになる数、すなわち、
の解(根)をaの平方根という。
前回、y=x²をやった。このグラフは次のようになる。
このグラフを見ると、a>0のとき、y=x²=aを満たすxが正と負、2つあることが分かる。
そこで、x²=aを満たす正の数を+√aとし、負の数を−√aと定義する。ただし、x²=0のとき、x=0とする。
つまり、というわけだにゃ。
これは言葉の問題になるのだけれど、「4の平方根」とは「x²=4を満たす実数x」のことで、x=±2となる。aの平方根は、a>0ならば、2つあるにゃ。
対して、√4、すなわち、「ルート4」は2だにゃ。「aの平方根を求めよ」と言われたら、±√aと答えないといけないにゃ。√aだけじゃ〜、駄目だケロよ。
x²=aを満たす方程式の解、根が±√aだから、当然、
になるケロ。
また、正数a、bに対して
すなわち、
になるにゃ。
このことは、2次関数y=x²のグラフより明らかでしょう。
で、さらに、a≧0ならば
§ 有理数と無理数
有理数とは、整数pとqを用いてと既約分数の形であらわすことのできる数のこと。
そして、有理数は、小数で表した時に、
といったように、有限桁の小数であらわされるものの他に
といったように循環する数字の列で表される循環小数というものがあり、有理数はこの2つで構成されている。
で、こういうふうに整数の既約分数で表せない数のことを無理数という。この代表的な数として、√2や円周率π、ネイピア数eなどがある。
ということで、√2が有理数でないことの証明をするにゃ。
この証明には、悪名高い「背理法」と呼ばれる証明法が使われるにゃ。【証明】
√2が有理数であると仮定する。
であるとするならば、有理数の定義よりと既約分数で表される整数p、qが存在する。
①の両辺を2乗すると、
pの2乗、p²が偶数なので、pは偶数。偶数なので、p=2kと表せる整数kが存在する。これを②に代入すると、
になる。上の議論と同様に、qは偶数となり、q=2lとあらわすことのできる整数lが存在する。
ところで、先に仮定したように
は既約分数。
だけど、分子、分母であるpとqは共通の因数2をもち、既約分数ではない。
――既約分数とは、分子と分母が1以外の公約数を持たない分数。なのに、2という公約数を持っていることになる!!――
何故、このような矛盾が生じたかというと、「√2が有理数である」という仮定が間違っていた、「偽」であったから。よって、√2は無理数である。
(証明終わり)
§ 平方根の計算
a>0、b>0のとき
が成り立つ。
平方根の分母の有理化
問題1 が6と8の間にあるとき、整数nを求めよ。
【解】
だから、
よって、n=6,7,8。
問題2 x=√3−√2、y=√3+√2のとき、x²−xy+y²の値を求めよ。
【解】
真面目に計算してもいいけれど、計算が大変だにゃ。そこで、次のように計算を工夫する。
で、
よって、
これは、よく使う計算上のテクニック!!
問題3 √2の小数部分をaとするとき、√32の小数部分をaを用いてあらわせ。
【解】1<√2<2だから、a=√2−1になる(※)。
また、 だから、この小数部分は
(※) √2=1.414・・・=1+0.1414・・・=1+aだから、a=√2−1となる。