連続関数の性質 [ネコ騙し数学]
連続関数の性質
連続な関数には、次の性質がある。
定理1 f(x)、g(x)が区間Iで連続ならば、f(x)±g(x)、f(x)g(x)もIで連続である。また、g(x)≠0)ならば。f(x)/g(x)も連続である。
定理2 f(x)が区間Iで連続、g(x)が区間J(⊃f(I))で連続ならば、g(f(x))はIで連続である。
定理3 f(x)が点aで連続、かつ、f(a)≠0ならば、aの十分近くの点xでは、f(x)はf(a)と同符号である。
定理4 (中間値の定理) f(x)が閉区間[a,b]で連続、f(a)≠f(b)であるならば、f(a)とf(b)の間のすべての値γに対してf(c)=γを満たすcがa<c<bに存在する。
高校数学では、中間値の定理を次のように紹介していると思う。
定理4’ (中間値の定理) f(x)がa≦x≦bで連続な関数、f(a)とf(b)とが異符号ならば、f(c)=0になる点cがa<c<bに存在する。
【証明】f(a)<f(b)のとき、f(a)<γ<f(b)となる適当なγをとりg(x)=f(x)−γとすると、g(x)はa≦x≦bで連続な関数で、g(a)=f(a)−γ<0、g(b)=f(b)−γ>0となり、g(a)とg(b)は異符号。よって、定理4よりg(c)=0を満たすcがa<c<bに存在する。
f(a)>f(b)のとき、f(a)>γ>f(b)となる適当なγをとりg(x)=f(x)−γとすると、g(x)はa≦x≦bで連続な関数でg(a)=f(a)−γ>0、g(b)=f(b)−γ<0で異符号。
よって、定理4よりg(c)=0を満たすcがa<c<bに存在する。
逆に定理4’から定理4を証明することもできる。
例1 f(x)=xとし、−1≦x≦1とすると、f(−1)=−1、f(1)=1で異符号。また、f(x)=xは−1≦x≦1で連続なので、中間値の定理より、f(c)=0となるcが−1≦c≦1に存在する(c=0)。
例2 f(x)=x³−3xとし、−2≦x≦2とする。f(x)=x³−3xは−2≦x≦2で連続で、f(−2)=−2、f(2)=2と異符号。したがって、f(c)=0となるcが−2<c<2に存在する。
グラフから分かるように、この場合、f(c)=0となる点は一つではないことに注意(c=0、c=±√3)。
中間値の定理が保証する内容は、少なくとも一つf(c)=0となる点が存在していることを保証しているに過ぎない。
例3 f(x)=x²、−1≦x≦1のとき、f(±1)=1で同符号であるが、f(c)=0となる点cが−1<c<1に存在する(c=0)。したがって、中間値の定理を満たさなくても、a≦x≦bで連続な関数f(x)が、f(x)=0の解をもつことがある。
問 f(x)=1/xとすると、f(−1)=−1<0、f(1)=1>0であるが、−1<x<1でf(x)=0となる解を持たない。これは何故か、説明せよ。
【答】 x=0でf(x)=1/xは不連続だから。問題1 方程式ax²−x+1=0(aは実数)が実根をもつとき、1つの実根は2より大きくない正の数となることを証明せよ。
【解】(ⅰ) a=0のとき、x=1。
(ⅱ) a≠0のとき、ax²−x+1=0が実根をもつことより、この2次方程式の判別式をDとすると、
である。
f(x)=ax²−x+1とすると、これは連続な関数で、
f(2)=0のとき、x=2はこの方程式の解。
f(2)<0のとき、f(x)は連続な関数で、f(0)>0、f(2)<0だから、f(x)=0となる解が0<x<1に存在する。
(ⅰ)、(ⅱ)より、方程式ax²−x+1=0(aは実数)が実根をもつとき、1つの実根は2より大きくない正の数である。(解答終わり)
問題2 g(x)は0≦x≦1で連続な関数で、0≦g(x)≦1であるとき、g(c)=cとなる点cが存在することを証明せよ。
【解】(ⅰ) g(0)=0のとき、c=0とすればよい。(g(0)=0、g(1)=1の場合は、c=0、c=1のどちらでもよい)
(ⅱ) g(1)=1のとき、c=1とすればよい。(g(0)=0、g(1)=1の場合は、c=0、c=1のどちらでもよい)(ⅲ) 0<g(0)<1かつ0<g(1)<1の場合。
f(x)=g(x)−xとすると、f(x)は0≦x≦1で連続。さらに、
であるから、中間値の定理より、0<c<1に
を満たすcが存在する。
(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)より、
g(x)は0≦x≦1で連続な関数で、0≦g(x)≦1であるとき、g(c)=cとなる点cが存在する。
(解答終わり)最後に、連続関数の最大・最小値の定理を付け加える。
定理5 f(x)が閉区間[a,b]で連続のとき、f(x)は[a,b]で最大値、最小値をとる。
例4 f(x)=xとする。このとき、f(x)は連続な関数は−1<x<1で連続な関数であるが、−1<x<1でf(x)の最大値、最小値は存在しない。
また、のとき、−2<x<2と区間が開区間であっても、最大値、最小値が存在する。x=−1のとき、最大で最大値は2、x=1のとき最小で最小値は−2である。