偶関数と奇関数の積分 [ネコ騙し数学]
偶関数と奇関数の積分
偶関数とは、f(−x)=f(x)が成立する関数のことで、y軸に関して対称な関数。
だから、
が成立する。
たとえば、f(x)=x²がその代表的な例であり、
になる。
対して奇関数は、f(−x)=f(x)である関数のことで、これは原点に関して対称である。
である。
f(x)=x³がその代表的な例で、
となる。
このことは、上の図を見れば、幾何学的に明らか。
0≦x≦aでf(x)≧0であるとき、図の中で青で塗られている部分の面積S₁は
赤の部分の面積S₂は
赤で示されている領域は、青で示されている領域を原点を中心にして180°回転させたものだからS₂=S₁で、それゆえに
である。
ということで、例えば、f(x)=x⁴+x³+x²+x+1の場合、
g(x)=x⁴+x²+1、h(x)=x³+xとすると、g(−x)=g(x)だから偶関数、そして、h(−x)=−h(x)だから奇関数。
したがって、
となるので、
と、関数の偶奇性を使って、定積分の計算の省力化をはかることができる。
今やっているのは整関数だけれども、この性質は一般に成立する。
たとえば、という関数があるとする。
これは図から明らかなように、奇関数なので、計算をするまでもなく、
であることがわかる。
(定)積分では、この性質をよく使うので、知っておくと何かと重宝する。
定積分と面積 [ネコ騙し数学]
定積分と面積
§1 定積分と面積
閉区間[a,b]で関数f(x)が連続、かつ、f(x)≧0であるとする。このとき、曲線y=f(x)とx軸およびx=a、x=bで囲まれた図形の面積をSとするとき、である。
閉区間[a,b]内の任意の点xをとり、区間[a,x]で曲線とx軸とで囲まれた部分の面積をS(x)とすると、S(x)はxに応じて定まる関数である。
xの増分をΔxに対するS(x)の増分をΔSとすれば、
Δx>0のとき、
Δx<0のとき
である。閉区間[x,s+Δx]のf(x)の最大値、最小値をM、mとする。
Δx>0のとき
Δx<0のとき
であるから、Δxの正負にかかわらず
である。
f(x)は連続だから、Δx→0のとき、m→f(x)、M→f(x)。
したがって、よって、S(x)はf(x)の不定積分の一つである。
f(x)の不定積分の一つをF(x)とすると、
S(a)=0だから
したがって、
である。
[a,b]で囲まれた面積SはS(b)に等しい。
これを関数f(x)のaからbまでの定積分といい、
であらわし、a、bをそれぞれこの積分の下端、上端という。
問 次のことを証明せよ。
(1) f(x)が偶関数ならば(2) f(x)が奇関数ならば
【解】
(1) f(x)が偶関数ならば、f(−x)=f(x)で、y=f(x)のグラフはy軸に関して対称。
したがって、よって、
(2) f(x)が奇関数であるならば、f(−x)=−f(x)で、y=f(x)のグラフは原点に関して対称。
よってしたがって、
(解答終わり)
§2 平面図形の面積
(1) 曲線とx軸とで囲む面積f(x)は閉区間[a,b]で連続、かつ、f(x)≧0であるとき、y=f(x)とx軸、x=a、x=bで囲まれた面積Sは
である。
[a,b]でf(x)≦0のとき、曲線y=f(x)とx軸、x=a、x=bで囲まれた面積Sは、y=f(x)とx軸に関して対称なy=−f(x)とx軸、x=a、x=bで囲まれた面積に囲まれ面積に等しいから
また、[a,c]でf(x)≧0、[c,b]でf(x)≦0のとき
以上をまとめて
である。
問 曲線y=x³−2x²−x+2とx軸とで囲まれた面積を求めよ。
【解】したがって、この曲線のグラフは次のようになる。
(解答終わり)
求める面積は
ではなく、
であることに注意!!
また、偶関数・奇関数の積分の性質を使って
とすると、計算がすこし楽になる。
(2) 2つの曲線の囲む面積
2つの曲線y=f(x)、y=g(x)と直線x=a、x=bで囲まれた面積は、[a,b]でf(x)≧g(x)のとき、
問 2つの曲線y=(x−1)³とy=x²−1によって囲まれた2つの部分の面積を求めよ。
【解】2曲線の概形は次のとおり。y=(x−1)³とy=x²−1との交点のx座標を求める。
0≦x≦1では、y=(x−1)³≧y=x²−1
1≦x≦2では、y=x²−1≧y=(x−1)³
よって、求める面積Sは
(解答終わり)