ワンポイントゼミ6 極大と極小 [ネコ騙し数学]
ワンポイントゼミ6 極大と極小
極大、極小の定義
関数f(x)が点x=x₀においてとる値f(x₀)がx₀の近傍(x₀を含む十分小さな開区間)で、x≠x₀ならばf(x₀)>f(x)(f(x₀)<f(x))であるとき、f(x)はx=x₀で極大(極小)といい、f(x₀)を極大値(極小値)という。極大値、極小値をあわせて極値という。
問1 定義域をa≦x≦b(a<b)とする定数関数f(x)=cがある(cは定数)。
f(x)が極大、極小になる点とその値を求めよ。極大、極小になる点、極大値、極小値は存在しない。
(おしまい)
x₀≠xならばf(x₀)>f(x)=c(f(x₀)<f(x)=c)である点x₀がx₀∈[a,b]に存在しない――そのような点x₀が存在するとすれば、f(x₀)>c(f(x₀)<c)になってしまい、f(x₀)=cに矛盾する――。したがって、この場合、極大値、極小値とも存在しない。
問2 実数全域で定義された次の関数f(x)がある。
f(x)の極値を求めよ。
【答】
f(x)はこの関数の概形は次の通り。
x=−1の十分に近いところにおいて、x≠−1ならばf(x)>f(−1)=0が成立するので、x=−1で極小。
x=1の十分に近いところにおいて、x=1ならばf(x)>f(1)=0が成立するので、x=1で極小。x=0の十分に近いところにおいて、f(x)<f(0)=1だから、f(x)はx=0で極大。
したがって、
極小値0 (x=±1)極大値0 (x=0)
(おしまい)関数が微分可能であるとき、極値をとる点aでは、かならず、f'(a)=0でなければならない。
問2の関数は、x=±1以外では微分可能で、その導関数f'(x)はだからx=0でf'(0)=0となり、この条件を満たしている。
しかし、x=±1で、f(x)は微分可能でないから、この条件を満たしていない。そもそも、導関数f'(x)はx=±1で定義されていない。
また、f(x)=x³は実数全域で微分可能であるけれど、f'(x)=3x²=0となる点x=0で極値をとらない。
このことから、f'(a)=0という条件は、微分可能な関数f(x)がx=aで極値をもつための十分な条件でないことがわかる。f'(x)=0という条件は、微分可能な関数f(x)が極値を持つために満たさなければならない、必要な条件にすぎない!!
ひとつ質問をするが、
のx=±1における接線の方程式は?
赤と青で示されている直線がこの曲線の接線?
それとも、これとは違う他の直線。
あるいは、接線は存在しない(^^)
3次方程式2 [ネコ騙し数学]
3次方程式2
問題1 3次方程式x³+px+q=0が重複解をもつとき、
なる関係があることを証明せよ。
【解】
f(x)=x³+px+qとおき、3次方程式f(x)=x³+px+q=0の重複解をαとすると、であり、
f(x)を微分すると
したがって、
③より
①より
④と⑤より
(解答終わり)
②の微分のところでは、次の微分公式を使っている。
問題2 3次方程式x³+px²+q=0が重複解をもつとき、pとqにはどのような関係があるか。
【解】f(x)=x³+px²+qとおき、αを重複解とすると、
よって、
②より
(1) α=0のとき、①よりq=0。
(2) のとき、これを①に代入すると
よって、
4p³+27q=0、または、q=0。(解答終わり)
ちなみに、p=q=0のときは、3重解でx=0が解。
問題3 a、b、cが相異なる実数で、
のとき、ab+bc+caの取りうる範囲を求めよ。
一見すると、3次方程式とは関係なさそうな問題ですが・・・。
【解】
とすると、
これが成立するのは、次の3次方程式
が相異なる3つの実数解をもつということ。
3次方程式の解と係数の関係より、
①はx=0を解に持たないので、
①は②と同値。
とおくと、
よって、f(t)はで極小値をとる。
f(x)のグラフは次のようになる。
f(x)=kの実数解の個数とy=kとy=f(x)の交点の個数は等しいので、相異なる③つの実数解をもつためには
したがって、
(解答終わり)
次のように、y=x³+1とy=kxとの交点の数を調べて、kの範囲を定めてもよい。。
曲線y=x³+1上の点(t,t³+1)における接線の方程式は
これが原点を通るとすると
この時の傾きは
したがって、y=kxがy=x³+1とに接するとき
よって、y=kxとy=x³+1の交点の数、つまり、x³−kx+1=0の実数解の個数が3のとき、