第3回 三角関数 [ネコ騙し数学]
第3回 三角関数
§1 円と扇型(小・中学の復習)
上の図に示すような半径rの円と、中心角をx°とするその扇型があるとする。
このとき、円弧ABの長さlは次のような簡単な比例関係から
と求められる。
また、同様な比例計算から扇型の面積Sは
となる。
§2 弧度法
(1)、(2)を見ればわかるけれど、この180°や360°という定数が邪魔で何とも目障りだにゃ。円周率πも定数だし、そこで、
という新たな角度θを導入すれば、(ⅰ)、(ⅱ)は次のように非常にシンプルな形で表される。
そして、上の⑨から円弧の長さlと半径rを用いて、新たな角度θが次のように定義される。
このように定義された新たな角度θを弧度法による角度とかいい、その単位をrad(ラディアン)とする。
度数法から弧度法への角度の変換式は(a)で与えられるのだけれど、180°がπ(rad)なので、
と覚えておけば、すぐに度数法から弧度法へ、そして、弧度法から度数法へと変換できるにゃ。
数学(の問題)でよく出てくるのは、
だから、この変換くらいはすぐにできるようになって欲しいにゃ。
180°がπ(rad)だから、覚える必要もないもないけれど・・・。
§3 三角関数
三角比は直角三角形の辺の比で次のように定義される。だから、当然のことながら、角度の範囲は0<A<90°だにゃ。A≧90°だと、直角三角形にならないケロ。
これでは何かと不便なので、三角比を元に三角関数を次のように定義するにゃ。
原点を中心とする半径rの円周上の点Pのx座標、y座標をx、yとし、さらに、線分OPとx軸となす角度をθ(半時計回りが正、時計回りは負)とする。
と定義する。
このように定義すれば、三角比の角度の制限がなくなり、θを実数全体に拡張できるにゃ。
そして、このように定義された関数を三角関数と言う。r=1、つまり、原点を中心とする単位円の場合、三角関数の定義は簡単になり
どちらで三角関数を定義しても構わないにゃ。
ところで、円周上の点Pに対して
が成立し、さらに、r>0なので、r²で両辺を割ると、
となる。
また、
が成立し、三角関数が三角比の自然な延長になっていることが理解できると思う。
さらに、sin²θ+cos²θ=1の両辺をcos²sθで割ると、
結果をまとめると、
§3 三角関数のグラフ
y=sinx、y=cosxのグラフを書くと次のようになる。xは弧度法の角度で単位はrad。
この図を見るとわかるけれど、sinxとcosxともに2πという周期をもつ周期関数で、当たり前といえば当たり前だけれど、
ちなみに、周期関数とは定義域内のすべてのxに対して
が成り立つ定数pを有する関数のことで、この定数pを周期という。
tanxをグラフにすると、次のようになる。
この関数は定義からわかると思うけれど、分母である余弦関数cosxが0になるところ、つまり、cosx=0で不連続になる。そして、周期はπだにゃ。
§4 一般角
複素関数のところでも少し話したけれど、角度は一意じゃ〜ない。
度数法で書くと、角度α°とぐるりと一周した角度α°+360°、さらにn周した角度α°+360°nと区別することができない。ということで、
を一般角というにゃ。
弧度法だと一般角は
となる。弧度法単位はrad(ラディアン)なので、この点は注意して欲しいにゃ。