番外編 循環小数の続き [ネコ騙し数学]
番外編 循環小数
循環小数については数列と級数の第19回で少しだけ触れておいただけなので、その続編です。
たとえば、0.333・・・という循環小数があるとする。
これは実は
という無限級数の和のことで、
のn→∞の極限値を意味する。
aを1≦a≦9の自然数とする。
そして、と定義することにする。
この極限値は簡単に求められて、
となる。
ここでは、
を使っているよ。
ということで、最初の例として出した0.3・・・は、a=3のときなので
となる。同様に、
となる。
そして、
だケロ。0.999・・・というのは、1を循環小数の形式で表したものに過ぎない。だから、「0.999・・・と1は同じか違うのか」という問は、実は、まったくナンセンスというわけ。
もっとも、こんな難しい計算をしなくても、
と安直に求めることもできるのだが・・・。
で、もっと拡張して、
という循環小数を考える。
これは、
となる。
だから、たとえば、0.517517517・・・という循環少数は
ということになる。
ちなみに、a₁a₂a₃は数の並びで、a₁とa₂、a₃の掛け算ではないので、この点は注意してほしいニャ。
では、問題。
問題1 次の連立方程式を解け。
【解】
よって、
また、
となる。
これを解くと、
となる。
問題2
a、b、cは1<a<b<c<9となる整数で、
は等比数列をなしている。
(1) a、b、cの値を求めよ。
(2) この等比数列の第四項を循環小数であらわせ。
【解】
(1)
これが等比数列をなしているので、
これを満たすa、b、cはa=2、b=4、c=8。
(2)
よって、第四項は
ちなみに、(1)α、β、γが等比数列であるとき、公比をrとすると、
になるということを使っている。
中学数学の復習 第1回 一次方程式 [ネコ騙し数学]
中学数学の復習 第1回 一次方程式
正と負の数の四則演算、ならびに、交換法則、結合法則、分配法則、すなわち
さらに、
a=bのとき
くらいは知っていることを前提として話を進めます。
一次方程式(1変数の場合)
一次方程式の一般形はこの方程式の解は
と求めることができる。
だけど、何故、こう計算できるかにというと、上の結合法則や(1)〜(3)などが必要なんだケロ。
ax+b=0の両辺に−bを足す(bで引く)と、(1)より
となる。そして、(2)または(3)などから
となる。
実は、これでもまだ手抜きしているんだけれど、結構、面倒くさいことをやっているんだにゃ。
移項
等式の一方の辺にある項を、符号を変えて他方の辺に移すこと。
例
問題1 次の方程式を解け。
【解】
これまで「ねこ騙し数学」の中で解いた問題の中で一番難しい問題のように思うのは、気のせいだろうか・・・。
問題2 10%の食塩水と30%の食塩水を混ぜて、15%の食塩水を300g作るとき、10%の食塩水は何gいるか。
【解】
必要な10%の食塩水をxgとする。すると、30%の食塩水は(300−x)gとなる。
で、10%の食塩水xgに溶けている食塩の量は
30%の食塩水(300−x)gに溶けている食塩の量は
そして、15%の食塩水に溶けている食塩の量は
よって、
こんな問題、中学校を卒業してから解いたことがないから、解いていてなんか頭がおかしくなりそうだケロ。
中学校の先生や塾の先生は、よく、こんなことを子供に教えられるよな。オレだったら、間違いなく、教えている途中で、プッツン切れしまう。平常心を保つために、大昔、大学入試などによく出る簡単な軌跡の問題を一つ解くことにするにゃ。
問題3 2直線
の交点はつねに定円周上になることを示せ。また、その方程式を求めよ。
①は定点(2,0)、②は定点(−2,0)をそれぞれ通る。また、①と②の傾きはそれぞれ−k、で
となるので、①と②は直交する。
よって、交点Pは2定点A、Bを直径とする円周(x²+y²=4)上に存在する。
ただし、(2,0)は除く。
何故、(2,0)がダメなのか、わかるケロか?
②式に(x,y)=(2,0)に代入すると、
というトンデモナイ結果になってしまう。つまり、この点は②を満たさない!!
また、2直線、y=mx+nとy=m'x+n'が直交する条件は
というものを使っているよ。
【別解】
①より
これを②に代入すると、
ただし、(2,0)は除く。
番外編 お絵描きの練習3 [ネコ騙し数学]
番外編 お絵描きの練習3
問題1 直径ABの半円がある。この半円に図のように台形ABQPを内接させるとき、その台形の面積の最大値を求めよ。ただし、AB=2rとする。
直径ABの中点をOとし、次の図のように座標平面上に台形ABQPの各点をとることにする。台形の面積をSとすると、
となる。
xとyには
という関係があるので、
よって、
これを微分してもいいのだけれど、計算が少し面倒。それに、S>0なので、2乗しても大小の関係は変わらないので、計算を楽にするため、Sを2乗することにする。
展開して計算をしてもいいけれど、できるだけ楽したいので、このまま微分する。
――展開すると、因数分解の計算が面倒くさくなる――
よって、f(x)は0<x<r/2で増加、r/2<x<rで減少し、x=r/2のとき最大となり、その最大値は
よって、面積の最大値は
いやいや、①のまま微分したほうが楽かもしれない。
似たようなもんか・・・。
問題2 半径rの円Oの周上に定点Aと動点Pがある。Aにおける円Oの接線にPからおろした垂線の足をQとする。PがAに近づくときの極限値はそれぞれどうなるか。
【解】∠AOP=θとする。このとき、
よって、
上の計算では、
を使っているにゃ。
第7回 番外編 お絵描きの練習2 [ネコ騙し数学]
第7回 番外編 お絵描きの練習2
中点連結定理
三角形ABCの辺AB、ACの中点をそれぞれM、Nとするとき、である。
証明は、ベクトルを使うと、次のようになるにゃ。
【証明】
(証明終わり)
ちなみに、三角形AMNと三角形ABCは相似で相似比は1/2である。だから、面積は
になる。
ここまではイントロ。
では、問題を解いてみることにするにゃ。問題
図のように△ABCの確変の中点を結び、△A₁B₁C₁をつくり、次々にこの操作を行って△A₂B₂C₂、△A₃B₃C₃、……を作るとき、その面積をS₁、S₂、S₃、……とすれば、
(1) △ABCの面積がSのとき、無限級数
を求めよ。
(2) △ABCの週をl、△A₁B₁C₁の周をl₁、△A₂B₂C₂の周をl₂、……とするとき、
をlであらわせ。
(1) △A₁B₁C₁の面積は△ABCの1/4だから
(2) △A₁B₁C₁は辺の長さがそれぞれ△ABCの各辺の長さの半分になっているのだから、△ABCとの周の長さには
という関係がある。
よって、
ここでは、等比数列の無限級数の公式
を使っている。(1)のときa=S/4、r=1/4で、(2)のときa=l/2、r=1/2。
番外編 お絵描きの練習 [ネコ騙し数学]
番外編 お絵描きの練習
次の図に示す三角形があるとする。
三角形の面積Sは、(底辺×高さ)÷2だから、
そして、CHは三角関数を使うと
だから、
三角形ABCがあるとする。そして、∠Aの二等分線と辺BCの交点をDとし、∠A=θとする。
このとき、三角形ABDの面積S₁は
となり、三角形ADCの面積S₂は
だから、三角形ABDと三角形ADCの面積の比は
また、Aから辺BCに垂線をおろし、その交点をHとすると、S₁とS₂は
よって、
となる。
つまり、∠Aの二等分線は、辺BCをABとACの線分比に分ける。
この重要な性質を知っていたケロか?
三角関数を使わない証明の仕方もあるのだけれど、その証明は初等幾何をやる時に取っておくことにするにゃ。
でも、やりたいのは、これではないんだ。
問題 三角形ABCにおいて、AB=a、AC=b、∠ABC=θ、∠BACの二等分線の三角形内にある部分ADの長さをlとする。
(1) 三角形ABDの面積をa、lとθで表わせ。
(2) lをa、bとθとで表わせ。
(3) a、bを一定に保ち、θを0に近づけるとき、を求めよ。
【解】(1)
(2)
三角形ABCの面積Sは
であり、
ここでやめてもいいのだけれど、
になるので、
としたほうが(3)の極限の計算が楽になる。
(3)
として計算をしても良い。
なお、ここでは三角関数の極限の基本式
を使っている。
そして、ここに出てくる
を調和平均と呼ぶ。
a>0、b>0のとき、
だから、
だにゃ。
だから、
となる。
つまり、
となる。
相加平均≧相加平均≧調和平均
というわけでにゃ。証明は、
とやってもいいにゃ。番外編 微分積分の問題を解く5 [ネコ騙し数学]
番外編 微分積分の問題を解く5
問題1 とする。
(1) f(x)が極値もつようにaの値を定め、極値m(a)を求めよ。(2) 横軸にa、縦軸にm(a)とし、このグラフをかけ。
【解】(1)
よって、a≦0のとき単調増加となり、極値はない。
a>0のとき、
となり、増減表を書くと次のようになる。
x | … | loga | … |
f'(x) | − | 0 | + |
f(x) | 減少 | 極小 a−aloga | 増加 |
よって、a>0でm(a)=a−alogaになる。
(2)
よって、0<a<1で増加、a>1で減少となり、a=1のときm(a)は極大。
極値の判定は、2階微分をつかって、
(1) f''(loga)=a>0だから極小
(2) m''(1)=−1<0だから極大としてもいいにゃ。
いやまぁ〜、だから、ほとんど明らかなのだけれど(^^)
問題2 方程式の解の個数を求めよ。ただし、aは実数とする。
【解】
x=0は解でないので、
よって、は、y=aとという連立方程式と同値。
で、を調べるために
とし、
よって、x<0で増加、0<x<1で減少、x>1で増加となり、x=1のとき極小。
y=f(x)をグラフにすると、次のようになる。
y=aと合せてグラフをかき、y=aとy=f(x)の交点を調べる。
よって、
a<0で解1個
0≦a<eで解なしa=eで解1個
a>eで解2個となる。
【別解】
とy=axの交点を調べるにゃ。
ということで、
a<0で解1個0≦a<eで解なし
a=eで解1個a>eで解2個
となる。【別解2】
問題1の結果を使うにゃ。とし、y=f(x)とx軸との交点を調べるにゃ。
a≦0ならば、f(x)は単調増加。また、f(−∞)=−∞、f(0)=1で、かつ、f(x)は連続なので、中間値の定理より、f(x)=0を満たすxが−∞<x<0の間に一つ存在する。
a>0のとき、x=logaで極小(最小)。で、極小値a(1−loga)だから、0<a<eのとき、極小値>0となり、f(x)>0となって、y=f(x)はx軸と交わらない。つまり、解はない。a=eのとき、x=1で最小となり、最小値は0だにゃ。つまり、x=1が解となり、解は1個。
a>eのとき、x=aで最小で、a(1−loga)<0。そして、f(0)=1でx<logaでは単調減少なので、中間値の定理より、0<x<logaの間に解が一つ、さらに、loga<xで単調増加でf(∞)=∞だから、loga<x<∞の間に一つ存在する。
くどくどと説明するより、次のグラフを見れば、このことがわかると思うにゃ。
問題3 関数の区間0≦x≦1における最大値が2となるようにaの値を定めよ。ただし、eは自然対数の底である。
【解】
問題1の結果を使うと、a≦eでとなる。
さらに、a≦0ならば、単調増加なのでx=1で最大となる。となるけれど、a≦0なので、これは不適。
0<a<eのとき、f(x)は0≦x<logaで減少、かつ、loga<x≦1で増加だから、最大値になりうるのはx=0かx=1。f(0)=1なので、f(1)=2とすると、
となる。これは0<a<eという条件を満たすのでよし。
a=eのとき、0≦x<logaで減少なので、f(0)=1が最大値。
a>eのとき、とすると、
となる。0≦x<αでは減少、α<x<1で増加なので、最大値2の候補はx=0とx=1だけれど、f(0)=1なので、
これは、a>eの条件を満たすので、よし。
ということで、答はa=e−2とa=e+2。
番外編 微分積分の問題を解く4 [ネコ騙し数学]
番外編 微分積分の問題を解く4
問題 y²=x²(1−x)のグラフをかけ。
【解】なので、
について考えることにする。
になる。
ということで、これは凹関数。
x=2/3のとき、y=f''(2/3)<0なので極大となり、
で、は、x軸に関してに対称だから、概形は次のようになる。
x=1は漸近線。
dy/dxの計算法は、この他に2つほどある。
x=0のときy=0になるけれど、このとき、dy/dxは有限の値を持つので、x=0まで拡張し、
とする。
もうひとつの方法は、偏微分のところで出てきた陰関数定理を使う方法。
こういうふうに計算することもできる。
第19回 陰関数と陰関数定理
http://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25-1
番外編 微分積分の問題を解く3 [ネコ騙し数学]
番外編 微分積分の問題を解く3
今日も、ネムネコがお絵描きソフトを使いこなせるようになるための練習として、大昔の大学入試で出た問題をもとにグラフなどを作成し、問題を解くことにするにゃ。
問題1 関数
について、
(1) f(x)の極小値が0となるように定数cの値を定めよ。(2) (1)で得られたcの値に対して、曲線y=f(x)、x軸およびy軸で囲まれる部分の面積を求めよ。
【解】
c=0のときのグラフは次の通り。
これを見ると、x=πのあたりで極小になることが分かるよね。
(1)
になる。
極値になるためにはf'(x)=0でなければならないから、x=0、π、2πが極小値の候補になる。
上のグラフの赤紫の曲線がこのf'(x)。で、極小のとき、f'(x)の符号が−から+に変わるので、この図からx=πが極小であることが分かるにゃ。
ということで、
なお、極値の判定でf(x)の2階微分を使ってもいいにゃ。
だから、x=πのときが極小であると判定できる。
ちなみに、
f'(a)=0、f''(a)<0のとき、x=aで極大
f'(a)=0、f''(a)>0のとき、x=aで極小
(2)
http://nemuneko-gensokyou.blog.so-net.ne.jp/2015-03-30-3
に原始関数の表があるにゃ。
最後の2つの式に対してa=−1、b=1とすると、
となることが分かる。
あるいは、
になることを利用してもいい。
ということで、
になる。
問題2 nを自然数として、
とおく。
(1) の極値、凹凸を調べてグラフの概形をかけ。
(2) 曲線とx軸で囲まれた部分の面積をとするとし、を求めよ。
【解】お絵描きソフトでn=1、2、3、4についてのをかかせると、次のようになる。
このグラフからnが偶数、奇数のとき、曲線の凹凸がx≦0で違うことが分かるよね。
(1)
ということで、
で極大で、極大値は
となる。
で、nが偶数のとき、x=0が極小値になる。
また、nが奇数(n>1)のとき、変曲点はx=0と。
nが偶数のとき、変曲点は。
ちなみに、f''(x)>0のとき凸、f''(x)<0のとき凹
(2)
だから、
ねこ騙し数学番外編 微分積分の問題を解く2 [ネコ騙し数学]
ねこ騙し数学番外編 微分積分の問題を解く2
問題1 曲線と原点を通る接線およびy軸に囲まれる面積を求めよ。
【解】
曲線と原点を通る接線との交点をP、そのx座標をx=tとする。
接線の方程式は
だから、
になる。これが原点(0,0)を通るので、
となる。ということで、接線の方程式は
で、接点P(1,e)となる。
ということで、求める面積Sは
となる。
問題2
(1) 曲線の変曲点における接線の方程式を求めよ。
(2) (1)の曲線とその変曲点における接線とy軸とで囲まれた部分の面積を求めよ。
【解】
(1)とする。
で、y''の符号の変わり目(変曲点)を求めると、
よって、変曲点における接線の方程式は
(2) 求める面積Sは
となる。
だから、
ねこ騙し数学番外編だケロ!! 時間つなぎのために微分積分の問題を解いてみた [ネコ騙し数学]
ねこ騙し数学 番外編
ベクトル解析のあと、何をやるか決めていないので、決まるまでの場繋ぎとして、大昔の大学入試に出た微分積分の問題をちょっと解いてみるにゃ。
問題1 f(x)、g(x)は微分可能な関数、またf(x)の導関数f'(x)も微分可能とする。0≦x≦1に対し、
で、f'(1)≧0、f(0)≧0であるならば、f(x)(0≦x≦1)であることを証明せよ。
【解】
だから、g(x)f'(x)は減少関数。
よって、
また、f'(1)≧0、g(x)>0なので、
つまり、f(x)は0≦x≦1で増加関数。
よって、
大学の入学試験でこういう問題が出たら、難しくはないけれど、受験生は意外に青ざめるかもしれない。
さらに、ネムネコが新たに仕入れた数学のお絵描きソフトを習得するための問題を一つ。
問題2 曲線y=logxと、点(0,1)を通るこの曲線の接線と、x軸とで囲まれる図形の面積を求めよ。
【解】
曲線y=f(x)=logxとその接線の接点Pのx座標をx=tとする。そうすると、Pの座標は(t,logt)となる。
よって、接線の方程式はとなる。これが点(0,1)を通るので、
だから、接線の方程式は
曲線y=logxと、点(0,1)を通るこの曲線の接線と、x軸とで囲まれる領域は
だから、囲まれる面積は
となる。
なのですが、馬鹿正直に積分の計算をする必要はない。
図を見れば分かる通り、三角形PQRの面積から薄紫の部分を引いたものが求める面積。三角形PQRの面積は底辺×高さ÷2だから
三角形PQRの面積=(QR)×RP÷2=(2e²)×2/2=2e²と簡単に求まる。
そして、これは
と同じもの。
だから、
と計算してもいい。