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微分積分 関数の極限の計算 [ネコ騙し数学]

微分積分 関数の極限の計算


§1 関数の極限

変数xの値がある一定の値にかぎりなく近づくことをと書く。そして、xaに限りなく近づくとき、関数f(x)bに限りなく近づくことを

または

とあらわし、bf(x)極限値という。


次の例のようにf(a)が存在するとは限らないので注意が必要。


例1 x=1のとき、値は存在しない。

しかし、x≠1のとき

だから、

である。

例2 x=0のとき、値は存在しない。

graph-03.png

よって、

右側からx0に限りなく近づくことをとあらわすと、このとき

であり、このことを

とあらわし、x=0における右側極限という。

左側からx0に限りなく近づくことをであらわすと、このとき

で、このことを

とあらわし、x=0における左側極限という。

そして、この例のように右側極限と左側極限が一致しないとき、極限値は存在しない。

xaに右側から近づくことを、左側からaに近づくことをであらわすと約束すると、f(x)x=aにおける右側極限は

f(x)x=aにおける左側極限は

とあらわすことができる。

そして、右側極限、左側極限と極限について、次のことが言える。


特に、a=0のとき、とあらわすことがある。



§2 問題


問題1 次の極限を求めよ。

【解】

(1) このタイプの問題は、次のように因数分解をし、共通する因数で通分する。


(2)


(3) このタイプの極限は、次のように分子の有理化をはかってから極限を求める。

(解答終わり)


問題2 次の関係が成り立つように、定数abを定めよ。

【解】

のとき、分母のになるので、このとき、分子のにならなければならない。

よって、

よって、
  
a=8
b=3のとき、この極限は1/6になるので、a=8b=3である。
(解答終わり)

 


級数の収束の番外編 [ネコ騙し数学]

級数の収束の番外編


この級数の収束はどう証明したらいいんだろう?

  


ふっと、そんなことが頭に浮かんだ。


定理

α>1ならば

  

は収束し、α≦1ならば発散する。


この定理(?)を使えば、この級数の収束の判定はすぐにできる。


しかし、こんな定理を知らなくても、

k≧2のとき、k–1≦x≦k

  

だから

  

よって、

  

これだと1/1²が足りないので、両辺に1を足して

  

は単調増加数列で有界だから収束する。

と証明すればよい。

そして、この証明は、αに変えれば、定理(?)の証明にそのまま流用できる。


しかし、それじゃ〜つまらない。

それで、少し――数秒――考えた。

  

だから、n>1のとき

  

よって、

  

は収束する。

あるいは、k≧2のとき

  

を利用して

  

で、この両辺に1を足して

  

とすればいい。

この結果は、積分を使った証明と同じ結果じ。

これは、

  

だから。

かつて、大学入試で次のような問題が出たことがあるらしい。


問題 が収束する。このことを用いてが収束することを示せ。

また、

  

とするとき、STの間の関係を求めよ。

証明では何をどこまで使っていいのかがわからないので困ってしまうのだが・・・。


【解】

  

とする。

  

だから、

  

このn→∞極限をとると、

  

だから、

  

は収束する。

また、

  

という関係がある。



タグ:数列 級数 極限

平面図形と式 平面座標 [ネコ騙し数学]

平面図形と式 平面座標


平面座標を使って、重心、外心の問題を解くことにします。

その前に、平面座標の基本事項の復習。

1 2点間の距離

2点A(x₁,y₁)B(x₂,y₂)の距離AB

  


2 内分と外分

2点A(x₁,y₁)B(x₂,y₂)を結ぶ線分をm:nに内分する点は

  

であり、中点は

  

2点A(x₁,y₁)B(x₂,y₂)を結ぶ線分をm:nに外分する点は

  


3 重心

3点A(x₁,y₁)B(x₂,y₂)C(x₃,y₃)を頂点とする△ABCの重心の座標は

  


3の重心の座標の式⑤だけがあらたに出てきたので、これを導くことにする。


Heimen-zahyou-01.jpg

BCの中点をとすると、D

  

また重心の座標を

  

とすると、Gは中線AD2:1に内分するので、

  

となる。

では、問題を。


問題1 平面上に2点A(−2,1)B(3,2)がある。

(1) 線分AB2:3に内分する点、外分する点を求めよ。

(2) 点Bに関して、点Aと対称な点の座標を求めよ。

(3) 2定点AB等距離にある点をx軸上に求めよ。

【解】

(1) 内分する点C

  

2:3に外分する点D

  


ウォーミングアップを済ませたところで、本格的な問題を。


問題2 3点A(−5,5)B(−2,6)C(2,4)を頂点とする△ABCの重心Gと外心Dの座標を求めよ。

【解】
zahyou-03.png

重心Gの座標を(x,y)とすると

  

よって、重心は

  

外心Dの座標を(x,y)とする。

Dは外心なのでAD=BD=CD、よってAD²=BD²=CD²

  

これを解くと、x=−2y=1

よって、D=(−2,1)

(解答終わり)

座標を使うと、このようにして重心、外心を求めることができる。


問題3 3点A(4,1)B(6,−3)C(−3,0)が与えられている。

(1) ABCから等距離にある点Pの座標を求めよ。

(2) AQ²+BQ²が最小となるようなx軸上の点Qの座標を求めよ。

【解】

(1) 点Pの座標を(x,y)とする。

  

これを解くとx=1y=−3

よって、P(1,−3)


(2) Q(x,0)とする。

  

x=5のときAQ²+BQ²は最小となる。

よって、Q(5,0)

(解答終わり)

問題3の(1)の点Pは、△ABCの外心。

zahyou-04.png
タグ:初等幾何

ベクトル 内積の不等式への応用 [ネコ騙し数学]

ベクトル 内積の不等式への応用


成分で表される2つの平面ベクトルがあるとき、その内積は

  

になる。


空間ベクトルの場合、つまり、のとき、この内積は

  

になる。


では、問題。


問題1 ベクトルの内積を利用して、次の不等式を証明せよ。

  

【証明】

とし、この2つのベクトルのなす角度をθとする。

  

また

  

よって、

  

等号が成立するのはcos²=1、または、またはのとき。

cos²θ=1になるのはθ=0またはθ=180°のときで、これは

よって、等号成立は、またはまたはのときである。

(証明終わり)


また、

  

は一般に成り立つので、とすれば、次の不等式が得られる。

  


これを使って、次の問題を解くことにする。


問題2 xyzが負でない実数でx+2y+3y=1のとき

  

の最大値を求めよ。

【解】

  

等号が成立するのは、

  

よって、

  

(解答終わり)

こうした解法がいいかどうかは別にして、こういうふうに解くことができる。



次の問題は有名問題なので、やらないわけにはいかない。


問題3 零ベクトルでない2つのベクトルが与えられている。

が最小となるとき


(1) tの値を求めよ。

(2) が直交することを示せ。

【解】

(1) だから2乗しても大小関係は変わらない。だから、を2乗する。

  

よって、

  

の時に最小。


(2)

よって、が直交する。

(解答終わり)

とすると、点Pで表される点Aを通り、に平行な直線上の点。
は、原点Oと点Pとの距離。

だから、問題3の(1)で、原点Oと直線上の点との距離の最小値を求めていることになる。

原点Oからこの直線におろした垂線の足をHとすると、(2)では、直線と原点との距離が最小のとき、OHと直線が直交しているということを表している。


vec-futoushiki.png
タグ:ベクトル

この問題、解けるケロか? [ネコ騙し数学]

ネットに、次のような問題が紹介されていた。




簡単な問題なのだけれど、この記事の解法とは違う解き方で解いてみようじゃないか。

次の図のように対角線をABを引く。
circle-square.png

∠ACB=90°だから、ABはこの円の直径(円周角の定理)。
、小さな正方形の1辺をaとすると、AC=a、BC=3a。
△ABCは∠C=90°の直角三角形なので、三平方の定理が成り立つ。
 BC²+AC²=AB²
 (3a)²+a²=10²
 10a²=100
 ∴ a²=10

小さな正方形の面積はa²だから、答えは10cm²である。

如何でしょうか?



この他にも解法は思いつけれど、これが一番自然な考えだと思うにゃ。



タグ:初等幾何

ベクトル 空間ベクトルの内積2 [ネコ騙し数学]

ベクトル 空間ベクトルの内積2


問題1 空間中に3点ABCが与えられている。ただし、この3点は1直線上にないものとする。原点Oからこの3点を通る平面におろした垂線の足をHとする。次の問いに答えよ。

(1) を証明せよ。

(2) ABCの座標をそれぞれ(1,0,0)(1,1,0)(−1,2,1)とするとき、Hの座標を求めよ。

【解】

(1) Hは原点OからABCを通る平面におろした垂線だから、OH⊥AH

  

同様に、OH⊥BHOH⊥CHから

  


(2) Hの座標を(x,y,z)とする。

  

(1)より

  

よって

  

x=x+yよりy=0

よって、

  

だから、

  

となり、

  

H(0,0,0)は解として不適なので、

  

(解答終わり)

うるさいことを言うと、求めたH(1/5,0,2/5)A(1,0,0)B(1,1,0)C(−1,2,1)と同一平面にあることを示さないといけない。

ABCの3点を通る平面の方程式を

  

とすると、A(1,0,0)B(1,1,0)C(−1,2,1)を通るので

  

これから、この平面の方程式がx+2z=1であることが分かり、(1/5,0,2/5)がこの平面上にあることが示される。

しかし、ここまでするのであれば、次のように解答したほうがいい。


垂線OH(1,0,2)に平行(※)。

Hは垂線(x,y,z)=(t,0,2t)と平面x+2z=1の交点。

よって、

  

H(1/5,0,2/5)である。

このように解答すれば、連立2次方程式を解かなくてすむし、面倒な議論をしなくてすむ。


(※) 平面πax+by+cz=dは垂直!!

なぜならば、

平面π上に(x,y,z)とは異なる点があるとすると

  

よって、平面πは垂直。

問題2 Oを座標の原点とし、

  

とする。次の問いに答えよ。

(1) ∠ABC=θとして、cosθを求めよ。

(2) △ABCの面積を求めよ。

【解答】

(1)

  

よって

  

また、

  

よって、

  


(2) cosθ=1/2よりθ=60°

  


タグ:ベクトル

ベクトル 空間ベクトルの内積と成分 [ネコ騙し数学]

ベクトル 空間ベクトルの内積と成分


§ 空間ベクトルの内積の成分表示


3d.png

空間では、ベクトルは次のように3つの成分で表される。

  

基本ベクトルを用いて表すと

  

したがって、との内積は

  vec-naiseki5-eq-01.png

となり、

  

になる。

何故ならば、

  vec-naiseki5-eq-02.png

だから。


§ 方向余弦

x軸、y軸、z軸の正の向きとベクトルのなす角を、それぞれ、αβγとすると

  

となり、同様に

  

となる。

また、

  

だから、

  

この3つの組をの方向余弦といい、

  

であらわす。

のとき

  vec-naiseki5-eq-03.png

したがって、方向余弦には次の関係がある。

  



§ 問題編


ベクトルのなす角θ

  


問題1 のなす角θ0°≦θ≦180°)を求めよ。

【解】

  

また、

  

よって

  

よって、θ=30°

(解答終わり)


問題2 のとき

(1) ベクトルのなす角を求めよ。

(2) の両方に垂直な単位ベクトルを求めよ。

【解】

(1) 、また

よって

  

よって、θ=60°

(2) の両方に垂直な単位ベクトルをとする。

単位ベクトルなので

  

に垂直なので

  

これを代入すると

  

よって、

  

(解答終わり)

問題3 大きさが2、x軸、y軸の正の向きとなす角がそれぞれ45°60°であるベクトルの成分を求めよ。、また、そのベクトルがz軸の正の向きとなす角度を求めよ。

【解】

求めるベクトルの方向余弦をlmnとすると

  

よって
  vec-naiseki5-eq-04.png

したがって、γ=60°120°

求めるべきベクトルをとすると

  vec-naiseki5-eq-05.png

よって、(√2,1,1)または(√2,1,−1)

(解答終わり)

問題3から分かるように、一般にベクトルがx軸、y軸、z軸の生の向きとなす角αβγの和α+β+γは、一般に180°にならないので、注意して欲しいにゃ。


タグ:ベクトル

ベクトル 内積と成分(平面の場合) [ネコ騙し数学]

ベクトル 内積と成分(平面の場合)


平面上にある2つのベクトルの内積の成分表示を求めることにする。


vec-naiseki4-01.png

平面上ではベクトルの成分は

  

であり、基本ベクトルをとすると、それぞれ

  

となる。

したがって、内積は

  

また基本ベクトルは大きさが1で互いに直交するので、

  

この結果を上式に代入すると

  

特に、と基本ベクトルとの内積は
  

つまり、ベクトルの成分はベクトルと基本ベクトルとの内積になっている。


問題1 のなす角θ0≦θ≦180°)を求めよ。

【解】

内積の定義は

  

よって、

  

内積を求めると

  

また、

  

よって、
  

問題2 ベクトルに垂直で、大きさがに等しいベクトルを求めよ。

【解】

  とする。

だから

  

だから

  

よって、

  

これを解くと(x,y)=(3,−4)(−3,4)

よって

  



問題3 3点A(−1,0)B(0,2)C(−3,1)が与えられている。

  
を満たす第1象限の点Dの座標を求めよ。

【解】

Dの座標を(x,y)とする。

  

よって、

  

これを解くと、(x,y)=(2,1),(-2,3)

Dは第1象限の点なので、D(2,1)



問題4 ベクトルに対して、ベクトルの成分を、次のそれぞれの場合について求めよ。

(1) が平行の場合

(2) が垂直の場合

【解】

(1) が平行なのでを満たす実数kが存在しなければならない。

よって

  

また、であり、b=−2

(2) だからでなければならない。

よって

  

また、のとき

  

であり、よって、b=2である。

 


タグ:ベクトル

ベクトル ベクトルのなす角とベクトルの垂直 [ネコ騙し数学]

ベクトル ベクトルのなす角とベクトルの垂直


ベクトルのなす角をθとする。

このベクトルの内積は

であり、であるとき、

になる。

また、の必要十分な条件は、のとき、、つまり


である。



問題1 △ABCと点Oについて、次のことを証明せよ。

OA⊥BCOB⊥CAならばOC⊥ABである。

【証明】

とする。


OA⊥BCから


OB⊥CAから


①と②より


よって、OC⊥ABである。

(証明終わり)

これは、「三角形ABCの3垂線は一点(垂心)で交わる」ことの証明になっている。


問題2 2つのベクトルの大きさが等しいとき、ベクトルは垂直であることを示せ。

【証明】
vec-naiseki3-02.png

条件より

の内積をとると

よって、は垂直である。

(証明終わり)

これは、ひし形の対角線は互いに直交することの証明になっている。


問題3 はともに零ベクトルではなく、

であるとする。

このとき、次の問いに答えよ。

(1) のなす角度を求めよ。

(2) の何倍か。

【解】

vec-naiseki3-03.png

とする。


(1) 
  vec-naiseki3-eq-01.png

よって、θ=120°


(2)

  vec-naiseki3-eq-02.png

よって、√3倍である。

(解答終わり】

とすると、

  

という条件から、OAC、△OBCは正三角形になる。
何故ならば、ベクトルの和の定義よOB=OAで、OA=AC=OBとなって、△OACは正三角形。同様に、△OBCも正三角形。

だから、

  ∠AOB=∠AOC+∠COB=60°+60°=120°

また、

  

OABに対して余弦定理を使うと
  

このように解くこともできる。


問題4 平面上に和が零ベクトルになる3つのベクトルがあって、OA=1OB=2OC=√2である。

このとき、次の問いに答えよ。

(1) のなす角度をθ0≦θ≦π)とするとき、sinθを求めよ。

(2) △OABの面積を求めよ。

(3) △ABCの面積を求めよ。

vec-naiseki3-04.png

【解】

(1) とする。

和が零ベクトルになるので
  vec-naiseki3-eq-04.png

sin²θ+cos²θ=1だから


(2)

  vec-naiseki3-eq-05.png

(3) だから、Oは△ABCの重心(※)。

よって、

  

【解答終わり】

(※)△ABCの重心をGとすると

となり、Oと△ABCの重心Cは一致する。

ABC=3△OABになるのは、COの延長とABの交点をDとすると、Oは△ABCの重心でCD=3ODとなるから。


タグ:ベクトル

ベクトル 内積の計算例 [ネコ騙し数学]

ベクトル 内積の計算例


内積の定義式は

  

そして、この定義から

  

vec-naiseki2-01.png

また、内積では次のことが成り立つ

  



問題1 ベクトルの内積について、次のことを証明せよ。

  

【解】

(1) 内積の演算規則に従って計算するならば、次のようになる。

  


(2) と考えて

  

馬鹿正直に計算してもいいけれど、(1)の結果を使うと

  


(3)

  

(証明終わり)

どの規則がどこで使われているかわかるように書いたけれど、実際計算するときには、このように計算する必要はない。

実数の展開の公式

  

などをつかって、実数の掛け算と同じようにベクトルの内積を計算すればよい。

次に、(2)の計算の幾何学的な意味を考えることにする。

OABがあり、とすると、

  

となる。

そして、余弦定理から

  

つまり、問題1の(2)は余弦定理と同じものと考えることができ、ベクトルの簡単な計算で余弦定理を導いていることになる。

問題2 ベクトルについて、次の等式を証明せよ。

  

ABCの辺BCの中点をMとし、

  

とするとき、上式からどのような定理が得られるか。


vec-naiseki2-02.png

【解】

問題1の(1)、(2)より

  

上式の辺々を足し合わせると、

  

また

  

よって、

  

これは中線定理である。

(解答終わり)


問題1の(1)、(2)の結果を使わずに、

  

と、実際に計算しても苦労ではないけれど・・・。

問題3 ベクトルの大きさがそれぞれ410で、のなす角が60°であるとき、の大きさを求めよ。

【解】

  


【別解】
vec-naiseki2-03.png
余弦定理より

  



タグ:ベクトル

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